【亜矢子先生に聞いてみよう!】#32 「経験」させたいけれど…

Q 先生の記事を読んで、子どもにいろんな経験をさせたいと思うのですが忙しくて…。何かいい方法はありませんか。(小学3年男子の母)

「偉人伝(伝記)」読ませてみて

A 以前「お子さんに多くの人と会わせてほしい」と伝えました。忙しい親が時間をほぼ使わなくてよい方法、それは「偉人伝(伝記)」を読むことです。
お子さんに聞いてみてください。「エジソンって何をした人?」「ヘレンケラーは?」「福沢諭吉は?」。来年発行予定の新1万円札の肖像になる渋沢栄一はハードルが高いかもしれませんが、今の子は、大人が当たり前に知っている人物が何をしてきたかを驚くほど知りません。
この世界は多くの人々が、時には命がけでつくりあげてきました。特に偉人と呼ばれる人たちが成し遂げたこと、彼らの幼少期の様子や志が生まれた理由、失敗や挫折からどう立ち直ったかなど、その生きざまにお子さんは何か感じるはずです。
「うちの子は本を読まなくて…」という方、今すぐ親自身のスマホの時間を読書タイムに変えてください。特に幼い子にはデジタルを与えるより本を!読み始め5分だけでいいのでご一緒に。子どもが集中し始めたら、あとは本の中の人物が教えてくれます。
中学生でも遅くはありません。「国語や歴史の点が上がるらしいから自学(宿題)に使ったら?」で釣りましょう(笑)。「人生で変えられるのは自分と未来だけ」(野口英世、現千円札)、「どうやって世の中に役立てるかを考えよ」(北里柴三郎、新千円札)などの名言は、まさにキャリア教育の学びの第一歩だと思いませんか?
動画やマンガではなくぜひ本を。お子さんが「自分のペース」で読み、その人物の人生を「想像」できる時間を大切にしてほしい。図書館に行き、まずは1冊「一人の人生」を手に取ってみてください。目指すは最低10人です。
「人生の導き手である良い書物は、その書物のなかで語る偉人たちの言葉は、求めさえすれば皆さんのものとなることでしょう」(津田梅子、新五千円札)。「悩んで苦しかったとき、本の中の人物が私を支えてくれました」(現女子高生)。(小島亜矢子一般社団法人こどものみらい舎代表