【亜矢子先生に聞いてみよう!】#39 国語が苦手のようで…

Q 国語が苦手のようで、教科書を音読する時もつっかえるし、物語の内容をきちんと理解していないと感じ心配です。(小学3年男子の母)

「絵に描く」行間読み想像膨らませて

A 幼い頃から計算や英会話を頑張ってきたようなのに、母国語でつまずいている中学生を何人も見てきました。国語はすべての教科の基礎であり学びの要です。以前、音読の大切さを伝えましたが、今回のお子さんには視覚を使った方法を紹介します。いつもよりすごく時間がかかりますが、お子さんのためにお覚悟を(笑)。
スケッチブック(ノート)を用意し、お子さんに目をつむってもらった状態で「物語の絵を描いてみよう!下手でも間違えてもいいからね」と伝えてください。そして短く一場面(苦手なら一文ずつでも)を読み聞かせたら、それを絵にしてもらいます。
描けなければヒントを。登場人物は?いつ?どこ?何をしているのかな?これは文章から脳内でイメージする訓練。それを「実際に絵に描く=脳からアウトプット」して親子で共有しましょう。そして次を読み進め、描き足すか新しいページに描いてもらう。色を付けていくと、お子さんの思いが垣間見えて楽しいですよ。
大切にしたいのは「行間を読む」ところ。どんな服装?髪形は?性格は?何が好きそう?文章になくて描くのに足りない部分を想像する作業です。
現実社会では皆、人のさまざまな思いを感じながら生きていますが、人生で何かが起きても自分の経験の蓄積を総動員して「この人がこんな態度をとるのはもしかしたら…」などと分析し、おもんぱかります。物語を深くイメージすることは、経験値がまだ少ないお子さんが社会を生きやすくなるための体験代わりです。私も小学校の読み聞かせボランティアで時々、絵本以外の「物語」を読んで想像を楽しんでもらっています。
今の時代、物語をアニメ化したものもあり見せることは簡単です。でも「分かりやすい」という親切さが、逆にその子が持っている想像力を奪いかねない。幼い時は時間をかけて物語の文章を少しずつ絵で表出しながら想像を膨らませてほしい。
一見「めんどくさい学び」がお子さんの本物の「学力」へつながりますから、低学年のうちはそんなに「勉強だ」と構え過ぎず、ゆるりと楽しい家族タイムが一番ですよ。(小島亜矢子一般社団法人こどものみらい舎代表)