松川村地域おこし協力隊・石川さんが考案「あくしぷる」でスポーツ推進

運動通じて人と人つなげたい

「あくしぷる」って何?松川村の地域おこし協力隊の石川若菜さん(39)が、長年関わった新体操をベースに、独自に考案した運動法だ。axis(アクシス)(軸)とsupple(サプル)(しなやかな)を組み合わせた造語という。現在、村生涯学習センターグリーンワークまつかわで講座を開くなど、普及に努める。
夫と子ども2人の4人家族。小学校6年の長男がプロスノーボーダー志望でもあり、東京から白馬村をよく訪ねていた。スノーボードができ、子育てにいい環境を探していた時、松川村を紹介してもらった。
「松川村の景色、温かい人柄が大好き」と話す石川さん。地域の人に運動する機会を提供、「スポーツ文化の推進に貢献したい」と張り切る。

新体操ベースに“いいとこ取り”

4月から、松川村生涯学習センターグリーンワークで始まった「あくしぷる講座」。教えるのは、地域おこし協力隊員で、同村公民館で働く石川若菜さんだ。「鼻で息をおなかいっぱい吸って、口から10秒で吐いて」など、呼吸法を教えたり、並べたリングの上を駆け抜けたり。新体操で使う薄く透けた布、ゴースを持ち、腕を回すなどの運動やストレッチを計1時間行う。「無理なく楽しんでいる間に元気な体づくり」がモットーだ。
石川さんは徳島県出身。小学校3年から新体操を始めた。当初は、新体操の先生になりたいと打ち込んだが、より柔軟性が求められるなど思った以上に体に負荷がかかることが気になった。
半面、競技は面白く、しなやかな動き、軸がぶれない体になるなど魅力も多い。いいとこ取りはできないか―。そんな思いがあくしぷるを考案するきっかけとなった。
背骨の動きをよくすることで、体がしなやかに楽に動く。呼吸法を知ることで、呼吸が楽になる。ゴースはひらひらして、運動のとっかかりにしやすい。道具をうまく使い、楽しみながら体を動かせる。
年を取ると足を動かさなくなり、その影響で細かい動きができなくなるという。そんな時の味方は「けんぱリング」。保育園や幼稚園で使う物で、駆け抜けたり、片足跳びをしたり。童心に戻って、気負うことなくつま先を使うことができるという。
「しなやか、呼吸、軸(体幹)、道具を使う―が、あくしぷるの基本。ゴースを回すなどして、体に必要な動きができる。トレーニングだけれどトレーニングではない。『遊びトレーニング』です」と石川さん。

遊び要素プラス親子向け講座も

今年から「親子であくしぷる」もスタートした。居場所をつくりたいと、不登校や保健室登校の子ども、高齢者らに、あくしぷるに取り組む機会を提供することも視野に入れる。スノーボードやスキーを気軽に楽しめる場も設け、ウインタースポーツに目を向ける場も設けたいという。
「遊びの要素をプラスし、子どもの運動の経験値を増やしたい。あくしぷるだけでなく、運動全般の裾野を広げ、人と人をつなげることができたら」と目を輝かす。
移住前、東京では「頑張らなくちゃいけない」と思うことが多かったという。窮屈な生活の中で、何が一番大切か、自分や家族のライフスタイルについて改めて考えた。出た答えは「無理せず生活を楽しみたい」。実践するために、松川村への移住を決めた。
「松川村は自分らしさが出せる場所。永住したい」と石川さん。自然体で、村や地元の人、そしてスポーツと関わっている。