大町温泉郷 立山プリンスホテル こいのぼりを募り躍動的な姿で展示

演出に工夫 泳ぐ姿楽しんで

月遅れで端午の節句を祝う地域がある県内では、6月上旬まではこいのぼりを目にする機会がある。青空の下でたなびく姿が一般的だが、大町温泉郷(大町市平)の立山プリンスホテルでは、館内に色とりどりの約100匹が躍動的な姿で飾られ、話題を集めている。
ひときわ目を引くのが体長約15メートル、重さ約100キロの「ビッグカープ」。約20匹を組み合わせて従業員が制作した。迫力たっぷりに来館者を出迎える。
地域住民らに呼びかけ、眠れるこいのぼりを募り、ロビーや通路の天井付近に配置。新聞紙を体内に詰めて立体感を持たせ、絡み合わせて飾るなど水中を泳ぐ様を表現した。
6月8日まで展示し、毎日午後3~9時は宿泊者以外も観賞可能だ。

川底の雰囲気や撮影スポットも

立山プリンスホテルの玄関に入ると、「武者のぼり」や吹き流しが両サイドにずらり。誘導路のような空間を抜けた先のロビーの頭上には、圧倒的存在感を放つ「ビッグカープ」のほか、カラフルなこいのぼりが悠々と泳ぐ。「カープストリーマーパレード」(こいのぼりのパレード)と題した企画だ。
紙粘土を丸めた水泡のような飾りをあしらい、川底から見上げているような雰囲気も演出した。ライトに照らされ、夜は昼とは違った幻想的な雰囲気で楽しめる。
大浴場に続く通路の天井も、こいのぼりでにぎやかだ。背もたれや座面をこいのぼりでくるんだソファに腰かけ、抱き枕状のミニこいのぼりと写真を撮って楽しめる「フォトスポット」もユニーク。写真映えする場面が満載だ。
4月の「立山黒部アルペンルート」開通以来、海外からの観光客も多く訪れ、日本の文化や風習に触れる機会としても好評という。

従業員らが協力 知恵を絞り準備

大町市制施行70周年や、地域資源の水に注目した官民連携のまちづくり「みずのわプロジェクト」に連動した地域活性化、能登半島地震の被災地復興、人々の健康などを願って、同ホテルが初企画。ただ飾るだけではつまらないと知恵を絞り、約30人の従業員が協力して、こいのぼりの表面をきれいに拭いたり、ビッグカープの制作に励んだり。人形工房サンキュー(総本店・佐久市)の協力も受けて準備した。宿泊客の満足度を上げるとともに、ホテル内の部署を超えた交流や連携強化につなげる機会とした。
プロジェクトリーダーでフロントサービス課の奥原唯さん(35)は、「地元の皆さんにもぜひ見に来てもらい、大町温泉郷を知る機会になれば。若い世代が観光業に興味を持てるような、魅力発信にもつなげたい」と話す。
問い合わせは同ホテルTEL0261・22・5131