朝日美術館が収蔵作品展 平和への思い描く喜び 6月23日まで

朝日村の朝日美術館は6月23日まで「収蔵作品展描くよろこび、平和へのメッセージ」を開いている。戦争体験などから、平和への思いや描くことができる喜びを秘めた作家の作品を中心に展示。同館学芸員の青木啓子さんは「平和へのメッセージをバトンのようにつなげていきたい」と、メッセージカードへの記入も呼びかけている。
「きれい」「不気味」などさまざまな印象を与える抽象画を描いた大村蓮さんは、広島の軍需工場で勤労奉仕中に被爆。差別や偏見もあり長年公にしなかったが、1970年代から原爆をモチーフに描くようになった。
階段のように見えるおしゃれな絵は、旧制松本中学生だった加々美豊さんが軍需工場に向かう駅の階段を走った記憶から浮かんだ、先の見えない恐怖などを描いたという。
彫刻家の松原松造さんと妻恭子さんが、8歳で学童疎開した娘の公子さんと交わした往復書簡も展示。文面からは、互いを思い合う気持ちだけでなく、拙い字で書いた「空襲」の文字など、異常な世相も伝わってくる。
その他、ピカソの後継者といわれるアントニ・クラーベの作品や、19歳で亡くなった青木さんの叔父が、召集の際に自分の血でしたためた「血書」など、貴重な資料も展示。青木さんは「平和について、考えるきっかけになれば」と話している。
午前9時~午後5時。月曜休館。一般300円、高校・大学生200円、小中学生100円。同館℡0263・99・2359