夢語り合う場テーマに絵本 安曇野のこがちひろさん自費出版

大人が夢を語り合う「ドリカム新年会」。毎年、安曇野市のゲストハウス、地球宿(三郷小倉)で開かれる。集まった人は一人一人の夢を聞き、応援する。夢を話すうち、コラボレーションのような化学反応も起きる─。そんな場をテーマにした絵本「地球宿のドリカムしんねんかい」が完成、自費出版された。
絵本作者は同市のイラストレーターこがちひろ(本名・古賀千尋)さん(36、豊科新田)。ドリカム新年会に参加し、自らの夢を「地球宿をテーマにした作品を作る」「絵本を描く」と発表し、二つとも実現させた。
茨城県出身。山が好きで安曇野市へIターン、絵本を作りたいという夢をかなえた。28日~7月2日、カフェ「ひつじ屋」(穂高)で原画展を開く。

地球宿の魅力作品に描いて

絵本「地球宿のドリカムしんねんかい」にはサル、クマ、ウサギなどの動物が登場する。リアルなドリカム新年会では、だるまを手渡ししながら夢を語るため、「ユメダルマ」のキャラクターも登場。色鉛筆で描いた優しくかわいい絵が印象的だ。
クマが「蜂蜜のパンケーキ屋さんを開きたい」と夢を語る。木の実の研究をしているリスとネズミ、クマがコラボレーションして新しい夢が生まれたり、地球宿で出会ったカップルがいたり。語った夢が星のように輝き、ユメダルマが「ゆめのほし」として空に届ける|といった内容だ。

作者のイラストレーター、こがちひろさんは2019年、山小屋で働きながら休暇を使い、ウーフ(有機農場で働き、代わりに食事などをもらう仕組み)を体験。安曇野の生活を味わいたいと、地球宿に滞在した。東京で働いていた頃は、交流が職場などに限られたが、老若男女垣根がなく、日頃出会わない人とも気軽に話せる同宿に魅力を感じた。「地球宿を作品として描いてみたい」。20年に移住した。
こがさんは、子どもの頃から絵や工作が好きだった。絵本や小説、漫画などをよく読んでいたという。東京の専門学校では、イラスト、絵本制作を専攻した。卒業後はスポーツ用品に関わる仕事をし、趣味でイラストを描く程度だったという。知り合いから山の話を聞くようになり、山に興味を持った。18年、山小屋に住み込みで働くようになった。

穂高で原画展きょう~2日

21年秋に山小屋を辞め、22年の正月、ドリカム新年会に初参加。「地球宿の作品を手がけたい」と夢を語った。翌年は「絵本を描きたい」。発表しながら、「この新年会を描けばいいのかも」とひらめいた。いろいろなコラボレーションが生まれる、安心して夢を語れる、人の夢を聞き応援する─。そんな魅力を形にしたいとテーマが決まった。
昨年春から絵本の物語を考え、年末から絵を描き始め、6月に完成したばかりだ。子どもの頃からの夢がようやくかなった。「地球宿をモチーフにしたファンタジー。時間がかかっただけに喜びもひとしお。安曇野や地球宿の魅力が伝わるといい」と笑う。
今後はご当地絵本を手がけたり、地域のイラストレーターとして仕事をしたりと、安曇野を拠点に、夢を広げていきたい考えだ。
「地球宿のドリカムしんねんかい」はA4変形判、32ページ。1200円。地球宿、ひつじ屋(原画展期間中)などで販売する。絵本原画展は28日~7月2日午前10時~午後5時。29、30日は、夢の話を聞き、ユメダルマ入りの似顔絵を描く「ゆめのかお似顔絵会」(各日5人、完全予約制)を行う。詳細はこちら(https://lit.link/kogachihiro)から。