芸能の道へ羽ばたく松本市出身・相瀬ひまりさん

アスリートから俳優へ転身

身長167センチ。都内で学生生活を送りながら、俳優業に挑む。
松本市出身の相瀬ひまり(本名・福岡葵(ひまり))さん(19)。9日から放送が始まったNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも出演が決まった。
小学生の時、背泳ぎで全国大会で優勝するなど運動神経は抜群。高校生の時、夏休みに出掛けた東京・原宿で芸能事務所にスカウトされたのをきっかけに、華やかな世界に踏み出した。
同市高宮北の実家で母の幹子さんが英語教室を開いていることもあり、英語も堪能。現在はスペイン語も勉強中で、グローバルな舞台での活躍も視野に入れている。
「アスリートからアーティストへの転身です」とアピールする相瀬さん。表現の世界で大きく羽ばたく夢は始まったばかりだ。

英検2級の資格を持ち、趣味は料理、スペイン語の勉強、ボディーボード、特技は水泳、ダンス、世界史…。相瀬ひまりさんのプロフィルに書かれた内容からは、その多才さが伝わってくる。すらっとしていて、驚くほど顔が小さい。青山学院大文学部比較芸術学科に通いながら、アクション俳優や女優が多く所属する芸能事務所ワーサルに籍を置く。
5歳で水泳を始め、10歳の時に東京スイミングセンター招待試合(全国大会)の100メートル背泳ぎで優勝。海外遠征もするなど熱心に取り組んだ。
水泳を続ける環境を求めて飯田高校に進学したが、ホームシックにかかり、泣き暮らす毎日。水泳も1年生で断念した。目的を失い空虚な毎日を送っていた時、都内に出掛けた折に、ネットのオーディション番組「原宿美女図鑑」に出てみないかと声を掛けられた。ちょうど水泳をやめた時期と重なったこともあり、新しいことに挑戦したいと、翌年1月に受けてみた。
それをきっかけに芸能事務所に所属することに。週末に飯田から往復9時間かけて東京に通い、演技のレッスンやモデル活動に励んだ。19年には初めて舞台に出演したものの、自分の望んだ結果は得られなかった。
「水泳では輝いていたのに、舞台では、だれも注目してくれなかった」。その悔しさがばねになった。「演技を勉強しよう。芸能界で生きていこう。もっと頑張って、水泳をやめたことを認めてもらおう」
東京で芸能活動をする目的もあり、首都圏の大学への進学を目指した。推薦で神奈川県内の大学に入学。それまでの事務所を辞め、芸能プロダクションが主催する俳優養成コースのオーディションを受けて合格、そこの特待生になった。
ただ、大学の学部は勉強したい分野ではなかった。モデルよりも演技をしっかり学びたい-。そんな方向にも傾いていた。「やりたいことをやろう」。気持ちを切り替え、芸能活動に生かせる学部を受け直そうと決めた。
学生、演技の勉強、大学に在籍しながら別の大学を目指す「仮面浪人」と「三足のわらじ」生活。多忙な毎日だったが、水泳で培った体力と根気で乗り切り、昨年、青山学院大に合格した。芸能プロの養成コースも卒業し、正式に現事務所の所属になった。
学生、飲食店でのアルバイト、演技のレッスンと、今も「三足のわらじ」生活は続く。「やりたいことが見つかり、それに向かって頑張っている自分が好き」と相瀬さん。大河ドラマへの出演は1シーンだけだが、それでも大きな一歩だ。
「女優として輝きたい。水泳で挫折し傷ついた。だから、出演作品を通して、周りの人に元気を与えたり誰かの支えになったりしたい」。松本出身、素質十分の相瀬さんの活躍はこれからだ。