松本山雅FCの主力DFとして活躍した飯田真輝さん(37)が、「山雅らしいDF」を育てようと、小学5、6年生や中高生を教えるスクールを始めた。飯田さんは今季から、トップチームの練習でも指導する。育成年代にもプロにも変わらない熱さで接し、クラブ全体の守備構築に向き合っている。
飯田さん「山雅らしいDF」育てたい
6日夜、リニューアルされた塩尻市小坂田公園のサンコーグリーンフィールドで、「山雅魂道場DFスクール」の体験会が始まった。
冒頭、飯田さんの大きな声が響く。「うまくなりたい、負けたくないと思う子に来てもらいたい。いつもの練習より厳しいかもしれない」。小学5、6年生の男女13人に“覚悟”を求めた。
実際に、基本的なパス交換から注文を付けた。「試合で通用する?強く蹴る練習をしないと、試合で強く蹴れないよ」「DFは、絶対にボールを後ろにそらさない。失敗したら練習すればいい」。声かけは途切れず、時折、「負けんなよ」とげきを飛ばした。
「僕が声をからしてやるのに『山雅魂』はいい名前かなと思う」
飯田さんは2010~19年に山雅でプレーし、2度のJ1昇格に貢献した。21年限りで現役を引退し、昨年、クラブと地域とのつながりを築く新役職「コミュニティーボンドビルダー(CB2)」として山雅に戻った。掲げた目標の一つが「CB(センターバック)に特化した育成」。スクール開設は、その具体的な一歩だ。
「信州はおとなしい子が多いといわれる。コーチの教え方もあるかなと思う」と飯田さん。「僕もサッカーを始めたのは小5。本気でうまくなりたいと思い、今に続いている。この年代は技術的に上手じゃなくても大丈夫。DFの考え方を整理して教えたい」と言う。
同じ夜、中高生年代の体験会でも、「本気でうまくなりたい、負けたくないと思って来てくれれば、うまくする自信はある」と熱っぽく語りかけた。
今季はトップチームの練習にも、不定期ながらスタッフとして入り、居残り練習で常田克人、野々村鷹人らCB陣に付きっきりになることも。リーグ2節の岐阜戦後には、失点した場面について常田に「(DF下川陽太がトラップミスした後に)本気で(失点を)防ぎに行ったか?」と指摘したという。
「どこでも、言うことの基本は同じ」。1年前には「山雅の象徴となる選手の育成」も宣言している。その指導ぶりから、本気度が伝わってくる。