円陣組み意思統一
松本山雅FCのホーム開幕戦は、2年連続の引き分けだった。開幕から3戦連続の複数得点はならなかったが、この試合も決定機は数多くつくった。就任2年目の霜田正浩監督が掲げるアグレッシブなサッカーの形は、9千人近いファン・サポーターに示された。
自立したチームがJ2復帰の道筋に
今季の山雅は、失点直後にピッチ上の選手だけで円陣を組む。この試合は後半早々だった。先取点を奪った相手が喜びを爆発させている間、山雅の選手たちは静かに自陣中央に集まった。
ゲームキャプテンだったDF常田克人がそのときを振り返る。「それまでいい形で試合を運べていた。失点しても変わらずやろう、と」。ジュビロ磐田から新加入のベテラン、34歳のMF山本康裕は「時間はある。自分たちのサッカーは後ろからつなぐ。そこは崩しちゃいけない」。
前半にシュート数で8―1と圧倒しながら、先手を取られた場面。自らリズムを狂わせてもおかしくないところで、意思統一を図った。
その後も、手数をかけてゴールに迫り続けた。ようやく報われたのは後半30分過ぎ、PKを奪って同点にした。さらに、絶好の得点機を終了間際まで何度もつくった。
選手たちだけの円陣は、キャンプ中に自発的に生まれたという。霜田監督は選手とのやりとりについて「去年から一方通行より相互通行が多くなった。僕から言われたから―だけじゃ強くならない」と、戦術理解の深まりに期待する。
山本らJ1経験者が多く加わった今季。自立した大人のチームへの成長が、J2復帰への道筋を確かにする。