信毎MGで「はぐくむ工芸 子ども椅子展」

指田哲生さんら木工作家28人の作品

柔らかい手触り、優しい見た目が特長の木工家具は、不思議と気持ちが落ち着く。5月恒例のイベント「クラフトフェアまつもと」創設者の一人で、木工作家の指田哲生(さしだてつお)さん(77)は、木工家具の中でも椅子をメインに作り続けている。「椅子は一番体に触れるもの。木工家具ならではのぬくもり、変化する表情を楽しめる」という。
指田さんら木工作家が作る、個性豊かな子ども椅子が一堂に並ぶ「はぐくむ工芸子ども椅子展」が5月1~6日、松本市中央2の信毎メディアガーデンで開かれる。今年で10回目。さまざまなイベントが催される「工芸の五月」の一環だ。
芝生と子ども椅子との相性が良いからと、2012年に木工作家仲間と、松本市美術館の中庭で始めた。作品数が少なく宣伝もしなかったが、会場は自然に子どもが集まり、椅子に座ったり周りを駆け回ったりと、自由に遊び始めた。「その雰囲気が心地よかった」。今では全国から人が訪れる。
「子ども椅子を作ると、椅子のフォルムが子どもに似てくるんです」と指田さん。脚が短くコロンとしてかわいい子ども椅子は、確かに小さな子どものようだ。
今年の展示は、木工作家28人が、子どもをイメージした遊び心のあるデザインの椅子約60点。触り心地や色、重さは、木の種類によって異なる。木の特性を生かし組み合わる工法は、職人ならではの技術。「丁寧に扱えば何百年も使える。見て、触れて、遊んでみてほしい」。職人文化継承の意味もある。
インテリアとしてもなじむ木工家具は「思い出として残せる」と指田さん。子ども椅子は子どもの「居場所」でもある。「健やかに育まれるように」と思いを込めて、作品を作り続ける。
信毎メディアカーデンでの椅子展は午前10時~午後4時。入場無料。5月9~28日はグレイン・ノート(同市中央3)でも開かれる。午前10時~午後6時