子どものためにフェルトで手作り ほっこりおもちゃ「YUUKI’s KITCHEN」伏見幾実さん

子どもに、安全で衛生的なおもちゃを手作りしたい-。そんな思いを形にしたのが「YUUKI’s KITCHEN(ユウキズ キッチン)」のフェルトのおもちゃだ。伏見幾実さん(41、安曇野市穂高柏原)が手がける。乳幼児のくわえる、なめる、投げる、振る-といったしぐさを見た上で、「柔らかく洗えるもの」と選んだ素材だ。
ハンバーガー、ドーナツ、フライドポテトなど、さまざまなものをフェルトで作る。面ファスナーを使っているので、ハンバーガーをばらばらにしたり、組み立てたりといった遊びもできる。
屋号には長男の悠希ちゃん(5)の名前を付けた。愛情たっぷりのおもちゃを5月18日、同市穂高交流学習センターみらいで開く安曇野さんぽ市で披露する。

一針一針に心を込めて

フェルトのハンバーガーは、バンズ、卵、トマト、ピクルス、パテなどがあり、それぞれに面ファスナーが付いているので、重ねたり、ばらしたりできる。三角おにぎりの具はサケ、ツナ、梅干し、野沢菜で、のりが巻いてある。これも組み立てることができるため、どのように作るかを考え、指先を動かして脳を刺激するなど、知育玩具になっている。
「YUUKI’s KITCHEN」の伏見幾実さんが、長男の悠希ちゃんのためにと作り始めたフェルトのおもちゃだ。ピザ、フライドポテトなど種類も豊富。剣や、中に米が入ったカメラの形をしたがらがらもある。
4年前、おもちゃを手作りしたいと、フェルトでドーナツを作ったのがスタートだった。最初は悠希ちゃん専用だったが、友人から「出産祝いにドーナツを贈りたい」と依頼を受け、外に向けて作り始めた。その後、インターネットのサイトで販売を始めた。2022年からは、安曇野市穂高交流学習センターみらい(穂高)などで開く「安曇野さんぽ市」に出店。クラフトショップ安曇野(同)にも作品を置く。
既成の型紙にオリジナリティーを加え、自分の作品として仕上げる。ドーナツは持つだけ、握るだけだったが、悠希ちゃんの成長に合わせ、ままごとができるおもちゃを作り始めた。剣は当たっても痛くない。伏見さんは「原点は私の母親。粘土教室を開いたり、洋服を手作りしたりしていた」と、実母の秋元静江さん(66、神奈川県)から受けた影響の大きさを語る。

子どもの笑顔が一番のやりがい

YUUKI’s KITCHENのおもちゃはほとんど手縫いで、一針一針に心を込める。手間がかかる上、仕事の傍らであり、作業時間は悠希ちゃんが寝た後に限られるため、たくさんの量は作れない。「出店は1年に1度できればいいかな」。作品を手にした子どもの笑顔が一番のやりがいで、「対面販売は直接反応が見られるので面白い」とほほ笑む。
透明感のある素材、レジンで、イニシャルのキーホルダーも作り始めた。中に貝や金箔(きんぱく)、ビーズを入れたり、「練り消し」を入れて雲のようにしたりと工夫する。
「フェルトのおもちゃはおにぎりが一番人気」と伏見さん。今後は、鈴を入れ、押すと音が鳴る車型の作品も思案中。「温かみを感じてほしくて、手縫いにこだわっています。育児は大変だけど、子どもと一緒に楽しい時間を過ごすお手伝いができたらうれしい」。手に取るとほっこり心が温まるおもちゃだ。