大町の若者らダンサーと共に舞台づくり

大町市文化会館が開いているダンスのワークショップ「作って踊ろう!ダンスラボ」(全5回)で、10、20代が6人を占める市内の参加者7人が、6月2日の発表会で同館のステージに立つ。同市出身のコンテンポラリーダンサー・振付家の横山彰乃(あやの)さん(36)と共に舞台をつくってきた参加者は、体を使った表現の可能性に気付きや手応えを感じている。

「他者の目」意識し急成長

「ダンスが好き」という共通項で集った7人は、教室に通っていたり、小さい頃にダンス経験があったり。作品をつくる前に取り組んだ、人に見られることを意識するゲームでは、1人目が取ったポーズに2人目以降が順に加わり、即興で日常生活のとある状況を表現。2組に分かれ、互いに何の場面かを言い当てた。
横山さんは、布団に見せたいなら、寝転がった人の上に脱力して覆い被さる―といった動きを見せ、「どう見せたいかで、動き方やポーズの手の角度などが変わる」とアドバイスした。
ソロパートは各自で振りを考案。参加者同士で見せ合い、何に見えるか、どんな印象を受けるかといった意見を参考に、動きをブラッシュアップした。専門学校生の河村怜美さん(19)は風や霧をかき分けるイメージで踊ったが、ほかの参加者は「動物や竜のように見える」。河村さんは「確かに(動物や竜のような)格好良さがあるかもと気付いた」とし、「より竜のように見える動きにしようと意識を変えた」。
他人からの見え方をフィードバックし、自らが表現したいものやイメージを捉え直す作業を経た参加者の動きに、横山さんは「(短時間で)急成長した」と目を見張った。

創作の経験貴重な時間に

全員で踊る場面は、1人の動きに連動したり影響を受けたりする連帯感が印象的。「体が触れたり移動したりすることで、関係性が出るものもダンスの醍醐味(だいごみ)」(横山さん)という。
日頃はジャズダンスをしている会社員の樋口鈴乃(りんの)さん(22)は「体のつながりを意識するような、普段やらない動きに考えさせられた。初めて創作した経験も含めて貴重だった」。都合で1回だけの参加で発表会に臨む太田七海さん(14、大町中3年)は「動きのアクセントなどが勉強になる。表情も意識してステージに立ちたい」。
発表会のタイトルは「いつか思い出すかもしれない日のダンス」。横山さんは「ダンスに正解、不正解はない。型にはまらずつくる楽しさを体感してほしい」と参加者の背中を押し、「来場者に、劇場の違った使い方も感じてもらいたい」と演出にも趣向を凝らす。当日は横山さんのソロも。午後2時開演。無料。全席自由。問い合わせは同館℡0261・22・9988