独特な世界観 朝日のイラストレーター生田葵さん初個展

お気に入りの作品を持つ生田さん(右」と母・広美さん

花や雲などの自然物をモチーフに、細かい線を「手が動く通りに一発描きをしている」絵。人間の体にはさみやキノコなどの頭が付いた「異形(いぎょう)頭」や、「人外」と呼ばれるジャンルの絵。独特な世界観を紡ぎ出しているイラストレーターの生田葵さん(20、朝日村西洗馬)は、5日から松本市で初の個展「亜月の宝箱」を開く。
小さい頃から絵が好きだった生田さんは、中学生の時に統合失調症を発症。入院中に描いた絵を褒められたことや、描くことに没頭する時間が好きだったことなどから「絵の道に進みたい」と思うようになった。
入退院を繰り返しつつ独学で描き続け、SNSに上げると「売ってほしい」と声がかかるようになった。中には否定的なコメントもある。それが嫌で高3の頃「絵をやめよう」と思った。友人に相談すると「その程度のものだったんだ」と言われ、「頭に来て、逆に情熱が湧いた」。東京の専門学校に進学して活動を続けた。依頼を受けてバーの壁に描いたこともある。
現在は地元に戻り、治療を続けながら創作。アルバイトもしている。母の広美さん(50)は「いずれは絵で生活できるようになると思っている。精神的にも一つのことに取り組んだ方が良いので、できる限り協力したい」と、アドバイスをしながら支えている。
「インスピレーション(ひらめき)が浮かんだものを描いている。自分のグッズを持った人とすれ違うのが夢」と生田さん。「悩むことも多く、何をしても心が動かない時期があった。悩みがある人、表現が分からなくなっている人に絵を見てもらい、少しでも心が動き、感情が出てくれればうれしい」と話している。
個展は5~10日午前10時~午後8時、松本市中央3の文房具店「inkstain」。展示の他ポストカードや缶バッジなどの販売もある。問い合わせはメールatuki4510.g@gmail.com