災害用の携帯トイレ販売 松本市芳川野溝町会「各家庭で準備を」

松本市の芳川野溝町会は、災害用の携帯トイレを各家庭で備えるよう、あっせん販売に取り組んでいる。6月9日は野溝公民館(野溝東1)で、町会と防災会の役員が注文した家庭へ配布した。
田中千俊町会長(74、野溝西)によると、同町会の防災会は10年以上前から、災害時のトイレ問題は深刻として携帯トイレの重要性を議論してきたが、町会が全住民分を備えることはできないため、各家庭で準備してもらおうと考えた。
あっせんに当たり、できるだけ安価に提供する方法や、売れ残った場合の対処など課題は多かったが、防災会役員を対象に昨秋行った販売で手応えを得た。さらに今年1月の能登半島地震の報道を受け、早急に実現する必要があるとして住民への販売を決断。
2月と5月の回覧を通し、計約400セット(1セット50回分)と大量の注文があり、市販品より安く販売できた。
受け渡しには次々と住民が訪れ、購入した石黒澄子さん(72、同)は「夫は足が不自由なため避難所に行っても困るのではと思い、ポータブルのトイレも用意している。町会であっせんするのはいい考え」。田中町会長は「在宅避難する場合もあり、携帯トイレは重要。さらに防災に力を入れていきたい」と話した。