松本で「全日本男声合唱フェス」 6年ぶり県初開催

「この機会に再び活気を取り戻したい」
全国各地の男声合唱団が一堂に会し歌声を披露する「全日本男声合唱フェスティバルin松本」が7月14日、松本市のキッセイ文化ホールで開かれる。6年ぶりで、長野県では初めての開催。コロナ禍という合唱界にとって厳しい時期を経た集いに、県内の参加者の思いは熱い。
県内からは7団体が参加し、中信地域に活動の拠点を置くのは5団体。このうち、社会人らでつくる「しなのコラリアーず」は、4年近く休止していた活動を今年4月に再開した。2022年にいったん解散した「男声アンサンブルだいだら」は昨年、再結集した。
合唱愛好者たちは、松本開催のフェスをてこに、活動の輪の広がりを目指す。

活動休止や解散地元開催で再開

松本市のあがたの森文化会館の一室。6月29日、男声合唱団「しなのコラリアーず」の20人ほどがハーモニーを響かせた。
曲目は、フランス文学者の堀口大學が訳詩した「月下の一群」から「海よ」。代表で指揮者の近藤基さん(47、安曇野市穂高有明)が「いつかは合唱したかった」という「男声合唱の名曲」だ。リズム、発音などを厳しくチェックし、本番さながらの練習を行った。
コラリアーずは「社会人の男声合唱団が少ない中で、県の代表的な存在になろう」と、信州大のOBを中心に2014年に結成。しかし、20年に長野市で開く予定だった全日本フェスがコロナ禍で中止となった後は、活動が休止状態に。今年4月、「合唱の灯を絶やしてはいけない」と、フェスに向けて再開した。
年長の林哲郎さん(76、松本市松原)は、これまで松本などで行った「第九」の合唱に30回以上参加したベテラン。今回は、団の新規募集のちらしを見て参加を決めた。「曲のレベルが高いので付いていくのが大変」としながら、男声合唱は「ハモるところがいいね」。
「男声アンサンブルだいだら」(石野将平代表)も、核は信大OB。19年の結成だが、コロナ禍で「発表の機会を持てず、目標がない」と22年に解散。松本でのフェス開催の話が出たことから、昨年2月に再び結集した。
コラリアーずとだいだらの両合唱団に参加する西川素平さん(57、同市島内)は信大時代からグリークラブなどで合唱に親しみ「若い時から合唱のある生活をしてきた」。全日本フェスの開催に「他(の県など)へはなかなか出ていかれない。地元でやる大会なので頑張りたい」と張り切る。
他に中信地域からの参加は「男声合唱団クール・ビア」「信州大学グリークラブ」「男声合唱団コールファーター」。

団体と個人600人過去最多

フェスは10年に第1回を宮崎県、第2回を12年に福島県で開き、14年の第3回以降、18年までは毎年開催。長野市で予定した20年の第8回が中止された。今回は全国28団体と個人の計600人前後が参加する予定。参加者数は過去最多となる。
県合唱連盟副理事長・中信合唱連盟理事長の竹内巧さん(51、同市蟻ケ崎3)は「新型コロナが5類になるまでは歌いたいけれど歌えない状況で、活動を再開できず解散したところもある。若い人たちの掘り起こしが課題なので、こういう機会に何とか活動を活発にしたい」と話す。

第9回全日本男声合唱フェスティバルin松本は、キッセイ文化ホールで14日午前10時~午後5時(予定)。入場料1500円。チケットは前売り期間が終了、当日券は会場で販売する。問い合わせは全日本合唱連盟(℡03・5540・7813=平日午前10時~午後6時、ファクス03・3544・1964)