碌山美術館が「井上涼トークセッション」多様性作品で伝えたい

安曇野市穂高の碌山美術館は4月21日、近くの碌山公園研成ホールで「井上涼トークセッション」を開いた。アニメーション制作や歌など多彩な活動をする井上涼さんがゲスト。同館学芸員がナビゲーターとなり、アニメ作品やLGBTQ(性的少数者)についての思いを語り、約100人が耳を傾けた。
井上さんは1983年、兵庫県生まれ。美術大を卒業後、2013年からNHKEテレの美術番組「びじゅチューン」で作詞、作曲、歌、アニメを担当している。ナビゲーターを務めた碌山美術館学芸員の濱田卓二さんは大学の同期。井上さんの作品を映像で見せながら話を進めた。
井上さんは「自身のことは等身大で表現。どちらかというと、誰かの応援の形をとる作品が多い」と自己分析した。
また井上さんが同性愛者であることにも触れた。井上さんはカミングアウトした年にアニメ「ゲイの歌2005」を制作。明るい色と軽快なリズムの中で、「ゲイの語源は『楽しい』で、米国のゲイの人たちが自己肯定的に使いだした」などの歌詞が入った同作品を映像で見せた。「当時は、明るい表現をとるしかなかった。これからも多様性を作品で伝えていきたい」と井上さん。
会場から質問を受け付け、松本市内の高校1年生からの「自己表現時に、誰かに影響されないようにする方法は」との問いに、井上さんは「影響されても、ちょっと自分らしさを入れてみれば、それでいい」と答えた。
トークセッションは、新しい時代の美術を理解し合う活動の一環として開いた。