【亜矢子先生に聞いてみよう!】#22 「将来の夢」がない

Q 学校で「将来の夢」について作文を書くようにいわれたのに、「夢がない」と言って困っています。(小学5年男子の母)

多様な大人の生き方に触れる機会を

A 夢…私もなかったですね(笑)。ただ教育に携わり、子どもたちの「大人になりたくない」とか「公務員になりたい。理由は安定しているから」という言葉にショックを受け、何かできないかと考えたことを覚えています。
中学生の職場体験学習を実施するにあたり、地域には農業や工業に携わる職業が多くあるのに第3次産業(店、保育園、病院など)に人気が集中して、子どもの世界は狭いことを実感しました。ユーチューバーになりたい子が激増したのも、SNSで知る世界が広そうで実は狭いことの象徴だと思います。
だから私は、職場体験では「仕事体験」よりも「そこで働くリアルな大人の生き方」に焦点を当てました。人生の多くを占めている仕事において、この人は何を感じ、何を目指し、何を楽しみに生きているのか。リアルな大人との出会いは、自分の未来像につながりやすいと思ったからです。
近い将来、今ある仕事の半分くらいが消えるだろうと言われています。大量生産時代に求められた「指示されたことを確実にミスなく忍耐強くできる能力」は、確かにAIロボットにかないません。その分、人間にしかできない仕事が時代のニーズに合わせて変化し、新しく生まれてきています。「将来の夢=就きたい仕事」ではなく、「自分がやりたいこと」や「こんなふうに生きたい」を考えた方が楽しいし、今の時代には現実的かもしれません。
ですから学校に任せるだけでなく、家庭で子ども自身が自分を知る機会や、多種多様な大人の生き方に触れる機会をつくりませんか?地域に出ていろんな大人と出会い、いろんな体験をさせてください。新聞などで世の中で起きていることを知った時、「どう思う?あなたは何ができる?」と考えさせてあげてください。
将来の夢でお子さんが悩んでいるなら、「憧れの(好きな)大人っている?どんな(生き方をしている)人?」と聞いてみると、子どもの「こんなふうに生きたい」という願いが見えてくるかも。成長するにつれて夢や目標は変わってもいいのです。お子さんが「大人になることが楽しみ!」になってくれたらいいなと思います。(小島亜矢子さくら*みらい塾代表)