【亜矢子先生に聞いてみよう!】#25 「迷惑をかけないように」

Q うちの次男は、勉強どころかみんなと同じように座っていることも難しいです。迷惑をかけていると思うと申し訳なくて…。(小学1年男子の母)

わが子を認め成長待って

A 「どんなふうに育ってほしいですか?」との問いに、「人さまに迷惑をかけないように」と答える親は多く、社会に生きる私たちにとって秩序を重んじるのは大事な考え方です。でも、わが子がすべきことができない、言うことを聞かないとき、「普通はできるはずなのに」「同じでなくて恥ずかしい」「皆さまに申し訳ない」とつい声を荒げたり、手が出てしまったりと苦しむ声も聞きます。
うちの塾での出来事です。お迎えのお母さんが連れて来た赤ちゃんが大声で泣き、申し訳なさそうにしていました。すると突然、1人の受験生の男子が「電車の中で赤ちゃんが泣いて嫌がる人がいるらしいけどさ、自分だって昔そうだっただろ、って言いたいよな」と一言。他の塾生も「赤ちゃんは泣くのが仕事だよね」「そうだそうだ」と言いました。
「勉強の邪魔だ」と嫌な顔一つせずに人を思いやる心を子どもたちは持っているし、世の中ってけっこう温かいなと思います。それに実は誰もが何らかの迷惑をかけながら生きているので大丈夫!真面目で一生懸命なお母さん、とりあえず周りには謝っておき(笑)、心の中で「私はわが子のおかげで迷惑をかけられても笑顔で許せる人になれる」とつぶやいてみてください。
誰もが生きやすい寛容な社会の一員です。言葉がなかなか出なくてもいずれ話せるようになるのと同じ、発達段階の時期が人によって違うだけ。目の前のわが子を認め、成長を待ってあげて。ただ、不安が強ければ学校や病院に早めに相談してください。
親自身が安定することがすごく重要で、お子さんの個性(特性)を否認し続けると、親子で長く苦しむ場合もあります。「この子、大変だけど面白いわ」の境地に至りつつ、今から味方を増やしておくといいですよ。(小島亜矢子一般社団法人こどものみらい舎代表)