【ガンズリポート】世界選手権エースの活躍 ブラインドサッカー最年少男子日本代表平林太一

ブラインドサッカーの松本山雅B.F.Cに所属する平林太一(16、松本市)が、8月に英国で開かれた男子世界選手権に日本代表として出場した。全6試合に出て4得点と活躍。「やっぱりサッカーをやっている時が一番」と実感したという。チームは5位になり、目標だった来年のパリ・パラリンピックの出場権をぐっと引き寄せた。
世界選手権で、日本は予選リーグを2勝1分けで突破。3戦とも1得点ずつで、全て平林のゴール。8強による決勝トーナメントは初戦で中国に敗れたが、順位決定戦でフランス、イランに連勝。平林はフランス戦で1得点(PK)した。
パリ・パラリンピックには、世界選手権で出場権を得たアルゼンチン、ブラジル、コロンビアのいずれかが、11月の南北アメリカ大陸勢による国際大会で優勝すれば、日本が繰り上げで出場権を得る。過去の実績から、その公算が大きい。
平林は、個人的な目標でもあったパリ大会出場が現実的になり、「チームを勝たせる得点を取りたかった。よかった」と満足そうに振り返る。

代表入りは昨年4月。最年少だったが物おじせず、年上のチームメートとコミュニケーションを取った。「こういう性格なので、なじみやすかったと思う」
周囲の環境づくりにも助けられている。毎週末のように東京に行き、代表コーチの下で練習し、他の代表選手とも連係を深めている。松本美須々ケ丘高校に通う平日も、オンラインで指導を受ける。
世界選手権は、自身5度目の国際大会出場だった。「シュート数は多くなかったが、決められた。パス回しでは、チームのレベルが上がった」と成長を感じている。

生坂村出身で全盲の平林は、小学1年生の時に競技に出合い、山雅B.F.Cの前身であるFC長野RAINBOWに入って技を磨いた。当時からのチームメートでもある県松本盲学校の中澤公博教諭(46)は「技術だけでなく(空間などの)感知能力が伸びた。有望だと思っていたが、今や代表のエース。その自覚からか、人間的にも成長した」と話す。
平林は「チームが一つになって勝ち負けに一喜一憂するのが楽しい。パリ大会に出たら優勝を目指す。『ブラサカ』に注目して見てもらえればうれしい」。
9日にあるJ3の試合前に、サンプロアルウィンで山雅B.F.Cの活動を紹介するイベントが開かれ、平林も登場する予定だ。