小2の頃から直売所へ出荷
「生産者名飯沼永遠(とわ)」。安曇野市の直売所「安曇野スイス村ハイジの里」に、そう表示された農産物が並んでいる。飯沼さんは、同市穂高牧に住む13歳の農協正組合員。穂高西中の2年生として学ぶ傍ら、自分の畑の営農に知恵を絞っている。
チンゲンサイ、ミズナ、カラシナ、唐辛子、アスパラ…。作っている物を尋ねる質問にすらすらと答えた。
父の竜也さん(42)が専業農家で、祖父母も現役の作り手。その家で2アールほどの畑を任されている。
何を作るのか、種苗会社のカタログをめくりながら考えるのが楽しい。「僕はパパの畑を手伝うけど、自分のはほとんど1人でやる」。気持ちは独立の個人農家だ。
畑を遊び場にして育った。「おむつを着けて来てたよ」と祖父の春夫さん(71)は笑う。
小学2年の頃、父の名前で生産物をハイジの里に出すようになった。熱心さが周りの生産者に伝わり、自分名義にすることを勧められた。父も賛同し、4年の時、あづみ農協の正組合員になった。
出荷先はもっぱらハイジの里。スーパーの値札や市場の相場を参考に値付けする。大事にしているのは、売上よりも品数。年間を通した出荷点数は1万を超え、約700人の出荷者で上位に入る。点数ランキングがモチベーションになる。
出るお金も管理する。「マルチ(シート)が高過ぎ。今の時季は肥料も要るので、お金がかかって仕方がない」。世の農家同様、資材高は悩みの種だ。
朝夕、農作業することも多い。「宿題は学校に行って、チャッチャとやっちゃう。提出率はいい方だと思う」。テストの成績にも、家族からの不満はない。
やっていて面白いのは種まき。オフには、生産者仲間との旅行が楽しみだ。去年は、5家族で行く温泉旅行の幹事を買って出て、日程を調整した。
農家ライフを満喫中。将来も続けるつもりという。