塩尻市大門一番町の銭湯「桑の湯」で4月末、「昭和レトロな子ども銭湯」が開かれました。公衆浴場で混浴利用できる年齢を「6歳まで」に引き下げる動きが進む中、小学生が一人でも入浴できるようにマナーを学び、風呂に入る練習をしようと昨年末から開催。創業95年の同湯は6月末で閉業するため、参加者にとっても貴重な体験になりました。
定休日に浴場を貸し切りにして開き、市内の小学1~5年生32人が2班に分かれて参加しました。
初めに店主の桑澤弘幸さん(53)が、1929(昭和4)年の創業から現在までの歴史を紹介。51年に建て直した時から使っている柱や番台、昭和の手仕事が見られる脱衣所の格天井や木製建具について説明しました。
その後、常連という子どもたちのリードで「温泉体操」をし体をほぐし、入浴マナーの紙芝居を観賞。(1)よく体を洗ってからお風呂に入ろう(2)お風呂に入る時はパンツを脱ごう(3)お湯や水の無駄遣いはやめよう(4)湯船で潜らない、タオルを持ち込まない(5)ぬれた体で脱衣所を歩き回らない(6)脱いだ服はきちんと畳んでおこう(7)おけは床に置こう─という七つを確認しました。
番台で料金を払う体験もし、桑澤さんの母節代さん(80)は「よく温まってね」と優しく声をかけました。
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男女の脱衣所に分かれ、いよいよ入浴準備です。トイレに行ったり水分を取ったりした後、脱いだ服はきちんと畳んでロッカーへ。早く入りたくて駆け出したくなる気持ちをぐっとこらえ、滑って転ばないように静かに浴場の扉を開けます。
流し場に座ったら、お湯の節約のため、頭から足先まで体全体をせっけんで洗った後に流します。ペアの友達と「泡の流し忘れがあるよ」と教え合い、最後にいすとおけをすすいで片付けます。
その後、広い湯船に漬かります。お湯はまきで沸かしていて、この日は子どもたちのために普段より1・5度ほどぬるい温度に設定。十分温まったら出ます。
体をしっかり拭いてから脱衣所に戻り、乾いたタオルでもう一度拭いて着替えます。一息ついたら瓶入りの牛乳で「かんぱーい!」。
塩尻西小学校1年の小松考次郎さん(7、大門二番町)と参加した同小4年の兄・真太郎さん(9)は「(温まった後)冷たい水に足をつけると気持ちよかった」、母親の真理さん(38)は「ここに来るとお風呂がもっと好きになります」。
同小2年の内藤知花さん(8、塩尻市大門)は「『あったかいお風呂をありがとう』と手紙を書いた。ずっとなくならないでほしかった」と話しました。
弘幸さんは「湯上がりはみんないい笑顔。喜んでもらえて良かった」とほほ笑みました。