「やりたいこと」詰まった空間 安曇野・菊池さん夫妻のギャラリー&ショップ

安曇野市穂高有明の菊池和彦さん(66)、久美子さん(69)夫妻は5月3日、ギャラリー&ショップ「きつつき工房」を同所にオープンした。和彦さんの切り絵の栞(しおり)や組み木の作品を並べたほか、久美子さんは、不要になった手芸用品を無料配布するためのコーナー「ポンポンダリア」を設置した。二人の「やりたいこと」が詰まった空間だ。
和彦さんのほとんどの作品は、動物がモチーフ。切り絵の栞は、タヌキ、熊、猿、イタチなど安曇野で見かける身近なものから、世界中のさまざまな動物を作品にする。モグラの仲間「ヒミズ」など、珍獣の作品もあり、その数は102種類になるという(1枚150円)。
組み木の動物の種類は、リスや雷鳥など約50種類(1400円~)。親子やカップルで使えるペアのキーホルダー(1400円)などもある。
和彦さんは「栞はこれからも動物の種類を増やしたい。ハイエナなどにも挑戦したい」と意欲満々だ。
一方の久美子さん。子どもの頃から手芸が好きで、大人になってから編み物が趣味になった。それを知った友人、知人から「これを使って」と毛糸やリボンなどの手芸用品が集まるようになった。「段ボール2、3箱分が届くこともある」と久美子さん。
「自分で使うには量が多すぎるが、捨てるにはもったいない」。有効利用するいい方法はないか模索する中、家庭や飲食店で使い切れなかった食材を必要な人が持ち帰るヨーロッパ発の「みんなの冷蔵庫」を知った。
「手芸用品でも同じことができないか」と、それらを気軽に手に取りやすいように陳列する「ポンポンダリア」を思い付いた。キャッチフレーズは「みんなの針箱」。毛糸や布、リボンなどを並べ、「欲しい人はご自由にどうぞ」と、全てが無料になっている。
「いつか編もう」「親が買ったが自分は使わない」。こうした理由から、不要になった物が、使いたい人にとっては「ありがたい物」に生まれ変わる。「うまくマッチングができればいい」と久美子さんは期待する。

和彦さんが定年退職した昨年5月に東京都から移住した。和彦さんの父がこの場所に土地を買い、家を建てたのが今から25年前。これまでは週末など、短期間の滞在だったが、現在はじっくり腰を落ち着け、安曇野の生活を満喫。自然に囲まれながら念願だった柴犬を飼い始め、日々いろいろな動物に出合うことも新鮮だ。
こうしたリラックスできる環境で、二人のやりたいこと、好きなことを詰め込んだ工房がスタートした。
子どもも楽しめるようにと、切り絵の栞のワークショップ(2種で300円)も行う。型紙とセットになったキット(70円)もある。
金~日曜、祝日午前10時~午後4時。同工房℡0263・83・7221