広がる人の縁に喜び 大町へ移住し古道具店営む森田さん夫妻

誰かの「大切な物」つなぐ

大町市平にある古道具と日用品販売「街並商店」は、神奈川県鎌倉市から移住した森田彬光さん(29)、さち安さん(29)夫婦が、鉄工所だった建物を地域の人たちに手伝ってもらって改装し、開店して1年余がたった。商品を持ち込むのは、9割が市内や周辺町村の人たち。地域に根付き、人の縁の広がりに喜びを感じている。
仕入れた古道具を洗ったり修理したりし、きれいに整えて販売している。木製品について彬光さんは「丈夫で風合いはどこにでもなじみ、色の変化も楽しめる」と、その魅力を話す。
長年大切に使った物を片付けたいが、捨てたくはない、思い出がある物は壊したり燃やしたりしたくない―。「誰かが大切に使ってくれたら」という思いに応える商売が口コミで広がり、買い取りの相談が多く寄せられるようになった。
店には市内の木工家や陶芸家の作品を置いたり、展示会を開いたりし、大町を拠点に活動する作家のPRもしている。

二人は東京出身。彬光さんは家具量販店に勤め、さち安さんはセレクトショップに勤めたり、グラフィックデザイナーとして活動したりしていた。自然豊かで雄大な北アルプスを望む風景に引かれ、さち安さんの祖父母が暮らした大町に3年前に移住した。
祖父母が住んだ空き家には古い道具が多く残り、車を運転していると市内に空き家が多いことも実感した。移住前も平屋の古民家で暮らすなど、古い物が好きな二人。「商売の可能性がある。大町に面白い店を増やしたい」と古道具店を開くことにした。
さち安さんは「都会で暮らしていたら考えなかった選択。『大町って面白そう』と思ってもらう、きっかけになれば」と期待する。
営業午前11時~午後6時。不定休。問い合わせは同店のインスタグラムから。