ごみにしないでアップサイクル TOMOさんのペットボトルアート

ペットボトルをアップサイクルすると-。ペットボトルアーティストの活動名TOMOさん(39、安曇野市三郷明盛)は、2年ほど前から、ペットボトルで花やチョウのオブジェを作ったり、依頼を受けてランプシェードに仕上げたりしている。
東京で暮らしていた時、ごみの多さに驚いた。コロナ禍で断捨離がはやった頃だ。妻の大山生幸(せいこう)さん(39)が、家庭でペットボトルの商品を減らす努力を始めた。そんな時、偶然見たSNS(交流サイト)。ペットボトルから花を作る動画だった。「やってみよう」。作品をSNSにアップすると、依頼が舞い込むようになった。
「ごみって実はごみじゃない。作品が環境問題を考えるきっかけになれば」と期待する。

環境問題考えるきっかけに

ペットボトルをごみからアートに変身させるTOMOさんは、ペットボトルアーティストを名乗る。花、チョウ、クジラなど、さまざまなものが生まれる。綿密な設計図があるのかと思ったが、頭の中で考えながら作業を進める、「デザインと制作が同時進行」という。
ペットボトルを洗って乾かし、飲み口と底を落として開く。オリジナルの型紙に合わせて切り、オイルランプで熱を加えて形を整える。温めるとドレープ(たるみ)が入り、花びらのようになるという。細く長く切り、マクラメ編みの技法で編み込むことも。クジラの骨組みなどはこの方法だ。
「新しいごみを生み出さないように」と、針金や接着剤を使わないのがこだわりだ。例えば花。中心に穴を開け、長さのあるめしべやおしべを芯のようにして通し、何枚も重ねて完成させる。
東京で暮らしていた2021年、捨てられているごみを見て、量の多さに驚いた。「このごみはちゃんと分別されているのだろうか」。まず疑問を持ったのは、妻の大山生幸さんだ。家庭内での脱プラを心がけ、ペットボトルに入った商品をできるだけ使わないようにした。
TOMOさんは当初、そうした活動に興味はなかったというが、ネットで何げなく見ていたSNS(交流サイト)に心を動かされた。ペットボトルで花を作っている動画といい、見よう見まねで作ったことが、アートを究めるきっかけとなった。「家にある物で工作したら面白いんじゃないか。楽しみながら環境活動ができればいい」
できることから取り組もうと、多摩川でごみ拾いを始めたのもこの頃だ。ごみだったペットボトルがアートに生まれ変わる。作品をインスタグラムにアップすると、生幸さんのママ友、知り合いから「欲しい」とメッセージが来た。「売れる物を作っている」という意識はなかったが、人にプレゼントしたり、販売したりするようになった。
売り上げを難民支援の活動に寄付することも始めた。「買ってくれた人も、ボランティアにつながる」とTOMOさん。忙しい生活に疲れを感じ、自然の中で子育てしたいと昨年7月、安曇野市に移住した。
アップサイクルの活動が注目され、本で紹介されたこともある。オブジェだけでなく、ランプシェードなども手がけた。26~29日、東京で開く世界大会「ミセスオブザイヤーワールド2024」の出場者から、ドレスのオーダーも入っている。
光を反射し、独特の美しさを放つペットボトルアート。「これって何でできてるの?」と、関心を持つ人も多い。「作品を見て環境問題に興味を持ってもらえたらうれしい」。TOMOさんの活動のベースだ。

TOMOさんのホームページ▶ https://tomogallery.com/