【農トピックス】#3 田んぼの除草

進む技術革新 高まる関心

農薬を使わず、いかに効率的に除草するか。稲作の有機化で鍵となる作業で技術革新が進んでいる。先端に触れる実演会が開かれ、関係者も驚く数の人たちが集まった。
18日、安曇野市堀金烏川にある田んぼの脇に人垣ができた。視線の先でさまざまな農機が技を披露した。
主役は大手からベンチャーまでの4社。クボタ(大阪市)やオーレック(福岡県)は乗用機械で根こそぎ草を取って見せた。ハタケホットケ(塩尻市)やNEWGREEN(東京)の自走ロボットは、小さな草をかき取り、雑草の求める日光を遮るため水を濁らせた。
実演会の田んぼを提供したのは、株式会社あづみのうか浅川。28ヘクタールを作り、うち1.5ヘクタールで有機栽培をしていて、実演機には実証試験に協力しているものもある。浅川拓郎社長(42)は「有機栽培で環境負荷の低減になればいい」と話す。
取り組み始めたのは15年ほど前という。除草は手押しの田車で10アールをこなすところから始め、機械を試しながら面積を広げてきた。
その思いや人脈に行政が乗っかった。この日の実演会は県松本農業農村支援センターの主催。今年から環境を重点課題にしている。背景には、農水省が有機の栽培面積を大幅に広げる目標を掲げていることがある。
実演会には、行政やJAの担当者を中心に60人余りが集まった。浅川さんは「思ったより関心を持つ人が多い」と目を丸くした。
高まりはハタケホットケ取締役の平田彰さん(50)も感じている。ロボットを製品化して3年目。県内外から自治体の引き合いが増えているそうだ。ただ、個人農家の盛り上がりは「どうだろう」と首をかしげた。
実演会で披露された機械はやり方もコストもそれぞれ。「組み合わせを考えるのも面白い」と浅川さんは目を輝かせる。
有機栽培そのものの魅力が増せば、農家も関心が向く。選択肢の広がりはその鍵にもなる。