
松本市の中心市街地を行き交う大勢の外国人観光客。数多い日本の観光地の中から、松本はなぜインバウンド(訪日客)に選ばれるのか。私たちは縄手通り周辺で通りがかりの外国人客にインタビューを敢行し、外国人が考える松本の魅力や、不便に感じたことなどを尋ねた。また、外国人が多く訪れる店に対応などを聞いた。
松本城・上高地ほか市美術館も 自然が魅力の声多く
★ジュルソネットさん一家(米テキサス州・父ジョシュアさん、母サラさん、娘ピッパさん)
仙台や田沢湖(秋田県)、日光(栃木県)など各地を訪れ、松本の豊かな自然と松本城の美しさに魅力を感じた。日本語の表記しかない飲食店のメニューは不便に感じる。「今日(6月19日)は娘の誕生日なんだ」
★マルク・ファン・クレーフェルトさん(オランダ)
上高地から戻り、市街地を散策していたところ。松本城や自然に囲まれた環境が素晴らしい。12年前に「松本ぼんぼん」を見に来たが、その時より英語を話せる人が増えている。他は金沢に行く予定。
★オーレア・モナールさん、ルカ・ブリニョーニさん(フランス)
九州から北海道まで全国をキャンピングカーで回っている。松本城は黒くてかっこいい。松本の駐車場は、有料等の止めてよい場所なのか、私有地なのか分かりにくい。英語が通じない人も多いと感じる。
★アンバー・ジンさん、デレックさん(台湾)
東京から松本に来た。市立美術館で草間彌生さんの作品を鑑賞し、松本城も訪れた。明日は上高地に行く予定。松本の魅力はおいしいそばと美しい松本城。「松本は暑いね」
★カルロッタ・ペローナさん、ジョルジョ・パガーニさん(イタリア)
来日してから京都、岐阜、東京、奈良、長野市などを巡り、さっき松本に着いたばかり。これから松本城に行くつもり。
★シャニュ・アドリアンさん、ディアス・ヴィクトリアさん(フランス)
松本城を見て楽しんだ帰りに縄手通りへ。松本の美しい山々や、豊かな自然環境に心引かれている。
★エロヴィさん(フランス)、ヴィクターさん(ドイツ)
松本城や商店街を巡った。建築に関心があり、松本城や松本にある日本の伝統的な建物に魅力を感じている。県内では他に軽井沢を訪れる予定。
★ナオミさん(英ロンドン)
3カ月の長期休暇を取って日本へ。上高地など北アルプスでハイキングを楽しみ、自然を満喫した。松本城や商店街、市立美術館を訪れた。仕事の疲れを癒やし、リラックスできている。他は東京、九州、沖縄、北海道へ。
写真や会話の定型覚え対応
「たい焼きふるさと」店主山本真也さん
女鳥羽川沿いにある縄手通りは、江戸時代の武家屋敷の長屋門風の商店が並び、松本を訪れる外国人客に人気のスポットの一つ。通りのシンボルは「カエル」で、「フロッグ・ストリート」と呼ぶ外国人も。通りでたい焼き店「たい焼きふるさと」を営み、ナワテ通り商業協同組合の理事長も務める山本真也さん(64)に、外国人観光客に対応する際に大事にしていることを聞いた。
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言葉が通じなくても、目で見てすぐ理解できる工夫があれば、安心して買い物してもらえる。写真付きのメニューを用意したり、簡単な英語表現を覚えたりし、外国人が迷わず買えるように配慮している。
メニューには、写真やロゴマークだけでなく、アレルギー表示も積極的に行うようにしている。言葉の壁がある中で、安心して食べ物を選んでもらうために、視覚的な情報は非常に重要だ。
外国人客に最初は戸惑うこともあったが、基本的なあいさつや商品の説明など、簡単な英語のフレーズを覚えることで、コミュニケーションが格段にスムーズになった。「ライト・ナウ」(「今すぐ」という意味。食べ物を指すのに使う)のように、決まった単語や表現で通じることも多い。
以前のような団体客は少なく、個人や少人数の旅慣れた人が増えた印象。欧米の人も多く、日本語で「おいしかった」や「ありがとう」と言ってくれる人もいる。松本を楽しんでくれているのが伝わってくる。
【取材を終えて】
遠藤光姫(医学部) お店では、外国人にも楽しんでもらえる工夫がされていた。観光客も温かく、「ありがとう」「頑張って」と日本語で声をかけてくれる人もいた。人々に愛される魅力的な場所は、そこにいる人たちの思いやりの心があるからこそだと分かった。
工内章広(工学部) さまざまな背景を持つ人と話し、多角的な視点で松本の魅力を再発見できた。一つの記事を作る大変さを知ったので、これから新聞をより注目して読みたい。今回の記事作成を通じて育んだ情報収集力やコミュニケーション力を、今後に役立てたい。
小阪梨里子(人文学部) 観光客と受け入れる側の双方への取材から、複数の視点で観光業を捉えられた。今後も松本の観光に関心を持ち、学びを深めていきたい。新聞製作を通し、同じ情報でも文章の構成・表現や、写真から得られる印象が大きく異なることを実感した。
横山夢乃(医学部) 取材を通し、改めて松本の魅力を実感できた。中でも店舗が外国人観光客への対応として、言語対応などの工夫を重ねているのが印象的だった。そうした工夫で、訪れた外国人が不便を感じずに松本を楽しんでいる様子を見ることができ、良かった。