松本のフジゲンと福祉施設がオルゴールの療育効果を調査

障がいのある子どもたちの療育に、オルゴールがどんな効果があるのかを確かめようと、松本市の福祉施設で調査が行われている。オルゴールに触れた利用者の反応を分析し、より効果的な活用法や製品の開発につなげようという狙いだ。

活用法や商品開発につなげて

調査に協力しているのは、梓川倭の放課後等デイサービス施設「彩(いろ)の木」。子どもたちの一日を、楽器製造のフジゲン(同市平田東3)が貸し出すオルゴールを聴くことから始めている。
7月下旬、この日は発達上の特性がある子どもや重い障がいを抱えた子どもの8人が利用者だった。職員が大型の手回しオルゴールの演奏を始めると、じっと聴き入り、静かに涙を流す子もいた。その後の小型の手回しオルゴールを使った演奏体験では、多くの子が自分で出した音を聴いて笑みをこぼした。
子どもたちの様子を職員が書きとめ、それを受け取ったフジゲンが、そこに書かれた言葉を整理する|というのが調査の流れだ。

彩の木は昨年、手回しオルゴールを療育に採り入れ、効果を感じていた。例えば、多動性の子が集中して聴く。音が聞こえない子は、本体に触って振動を楽しんだ。手に障がいがある子には、手回しの動きが指先の訓練になるのだ。「オルゴールは子どもの成長に意義がある」と同施設代表の金井和恵さん(47)は実感する。
一方、フジゲンは5年ほど前から東京都北区の都立北療育医療センターで定期的にオルゴールの演奏会を開いてきた。そこで漠然と感じていた「癒やし」の効果を具体的に把握したい|と、今年3月、彩の木に調査を提案した。
民家を模したからくり式、本格的な超高級機など、さまざまなモデルを貸し出し、定期的に入れ替え。それぞれの反応をまとめている。
この調査は、数字を基準にしていないのが特徴。満足度を5段階で評価するといった方法ではなく、職員がそれぞれの感想を言葉で伝えている。「数字の平均値より実感の言葉の方が参考になる。同じ言葉遣いにフォーカスしていく」とフジゲンの胡桃澤紀彦さん(52)。ここまでの調査では、見た目はカラフルな方がいいと分かった。
療育の現場とオルゴールの作り手が目線を合わせて行う調査は、1~2年かける予定。胡桃澤さんは、「粘り強く続け、療育で使いやすく、効果のあるものを模索していきたい」と、今後を見据えている。