地元住民作った「高根音頭」“復活”へ活動 大町のシニア有志

地元音頭の復活へ─。大町市大町高根町のシニア世代の住民有志は、1949(昭和24)年ごろできたと伝わる「高根音頭」に再び光を当てようと活動している。歌には、地元の四季折々の自然や人々の営みなどが盛り込まれており、それに合わせて踊る振りは一から考案した。「地元の人が作った歌を広め、伝承していきたい」と張り切っている。
活動しているのは、高齢者向けの居場所づくりに取り組む70、80代の女性が主の「高根町サロンなごみ会」のメンバーたち。
「高根音頭」は、7番まである。春の桜に始まり、星や月の美しさや、豊年を喜び、冬の吹雪の中、春の訪れを待ち望む気持ちなどが歌詞に込められ、それを情緒あふれるメロディーで表現している。当時の青年団が制作に携わり、作詞、作曲ともに地元住民(いずれも故人)が手がけたという。
高根町公民館には歌詞の一部が書かれた書が飾られ、外には石碑も立つ。音頭の存在を知る住民はいるが、メンバーによると「年配の人でも歌ったことも、踊ったこともないようだ」という。
一方で、楽譜や全ての歌詞は、地域内の家庭で見つかっている。同会は2023年4月から月2回開いているサロンで、「せっかくなら地元に残るこの曲で歌ったり踊ったりしよう」と計画。踊りについての情報や資料はないため、23、24年度はまず、サロン参加者と一緒に歌を覚えて、後日に録音。本年度、踊りを作ることにした。
数カ月前から同会メンバーとサロン参加者十数人が、踊りの振り付けを考え始めた。歌詞からと、日々の暮らしから感じる高根のイメージを書き出し、それらを「自然や生活の情景」「水」「働く(稲作、畑作)」「まつり」に大別。この思いを振り付けの元にした。
高瀬川の流れ、吹き抜ける風、山や月を見上げ、農業にいそしむ姿や収穫の喜び、高根の人の人情味などを手足の動きで表現。子どもでも高齢者でも、椅子に座っていても踊れるように配慮した。作詞、作曲、そして歌も踊りも地元住民が手がけた“令和版”の音頭に仕上がるのは間もなくだ。

祭りでお披露目 地域に残したい

同会が毎年開く「夏祭り」。今年は8月10日に高根町公民館で行われ、地域住民でにぎわう中、「令和版高根音頭」がお披露目された。「ほいじゃあ、みんな頑張って踊るよ!」の掛け声に、高齢者も子どもたちも踊りの輪に入り、「まる、まる、眺めて、眺めて…」などと振りの特徴を言葉で教わりながら、爽やかな汗を流した。
踊りに参加した諸川雅孝さん(81)は「楽しい。田植えの姿など、自分が若い頃の高根の情景が浮かぶ。みんなで覚えて定期的に踊り、町の発展や住民が絆を深めることにつながれば」と期待した。
作曲者、故倉科治帆さんの家族は「復活はありがたくうれしい。仏壇の前で踊って見せてあげたい」と喜んだ。
地域の人たちが楽しそうに踊る姿を見て、同会の栗林貴子会長(80)は「最高」と感慨深げ。「昔の人がよく作ってくれた。誰もが自然に踊れる振りで、これからも大切に歌い踊り継ぎたい」と語った。
「高根よいとこ又(また)来いよ」。各番共通の歌詞の末尾だ。地元愛にあふれた音頭が、七十余年の時を超えて再び響き始めた。