人生に生きがいを 9月15日は「敬老の日」 元気なシニア紹介

9月15日は「敬老の日」。人生100年時代といわれる現代、趣味や仕事、運動や農作業などに生き生きと取り組むお年寄りは多い。一昨年発足し、全員が65歳以上という県内でも珍しい劇団「松本シニアシアター」の活動のほか、いつまでもみずみずしく、生きがいにまい進する人生の先輩たちを訪ねた。

松本シニアシアター
全員65歳超 労苦も仲間と成長

4月に旗揚げ公演「365~私たちの場合(マクベス)」を大成功で終えた「松本シニアシアター」。公募で集まったメンバーが2年の準備期間を経て演じたのは、高齢者の素人劇団が1年かけてシェークスピアの「マクベス」に挑む─という、現実ともダブるオリジナルストーリー。
健康問題や複雑な人間関係など、この年代ならではのテーマを織り交ぜながらコミカルに描いた物語を、人生経験を積んだメンバーが、あらん限りに演じて共感を呼んだ。
メンバー最年長の西澤正さん(77、安曇野市)は冒頭シーンで登場する町長役を演じた。他の劇団で演劇経験はあったが、今回は本番直前、プレッシャーで頭が真っ白になり、急にせりふが出なくなったという。「役作りを徹底して、何とか乗り切れた」と振り返る。
そもそも演劇には、せりふを覚える記憶力、表情や大きな声での表現力、長時間の練習や舞台に耐える体力など、高齢者でなくても難しい要素が多い。実際、本番直前でメンバーの降板があったり、体力不足で集中力が切れたりという多々の困難があり、それを克服してたどり着いた舞台だ。
劇団を立ち上げ、演出・脚本・指導を手がけた、まつもと演劇連合会会長で上土劇場支配人の永高英雄さん(63)は、「客の入りからも予想を超える反響があった」とし、「等身大のストーリーが分かりやすく、身近に感じてもらえたのでは」と大きな手応えを感じている。
7月から、メンバーの半数弱が入れ替わり、2期生による活動がスタート。男女11人が次なる舞台に向け、週1回2時間の稽古に励んでいる。演技に入る前の基礎訓練として、失敗を恐れず、自分の常識を壊すためのイメージトレーニングや、いろんな状況に応じた演技などを繰り返し行い、みんなで批評し合う。
1期目から引き続き参加する松本市の田中佐彦さん(73)、香代子さん(73)夫妻は「(舞台は)とにかく楽しかった。芝居の場にいること、仲間と一緒に演じることを体が持つ限りやりたい」と演劇の楽しさにすっかり魅入られた様子。
新メンバーの清沢つや子さん(71、朝日村)は、若い頃に演劇経験はあるが、指導を受けるのは初めてといい、「公私ともに落ち着き、やっと演劇を学ぶことができる」と新たな学びに意欲的だ。
メンバー全員が口をそろえるのが「すぐに仲良くなれ、交流がとても楽しい」。同じ労苦を共にする仲間同士のつながり、刺激や成長は、太い絆も生むのだ。
永高さんは「練習や舞台を経て、徐々に俳優の顔つきになり、自信も出てくる。気持ちが若く、熱意があるシニアは、これからの演劇界の一翼を担ってくれる」と、さらなる活躍を期待する。