
前回、「自分の感情に気づき、言語化するための工夫」を紹介しました。今回は、さらに一歩進めて「他人の感情を理解すること」や「気持ちの表出」を助ける支援についてお話しします。
発達障害のお子さんの中には、相手の気持ちに気づきにくい子も少なくありません。「どうして友達が怒っているのか分からない」と戸惑い、それがトラブルになることも少なくありません。そんなとき口頭だけで説明してもイメージしにくく伝わりにくいことがあります。そんな時に役立つのが「コミック会話」という手法です。棒人間を描き、ふきだしに「言ったこと」「思ったこと」を分けて書くと、場面の関係性が目に見えて理解しやすくなります。本人の捉え方を聞き取ったり、相手の気持ちを解説したりするときなどに使いやすいです。
また、本人に気持ちを尋ねるときは「うれしかった」「緊張した」「困った」「その他」などと選択肢を示すと答えやすくなります。選択肢に自分の気持ちに合ったものがないかもしれないので、「その他」という選択肢も選べるようにすることがポイントです。気持ちを複数選ぶのもいいでしょう。
また、いろいろな人のいろいろな感じ方を学ぶのに、子どもが好きなアニメやゲームの登場人物を例にすると役に立つことがあります。「〇〇(アニメキャラ)が××に『~~』といわれて、怒った場面があったよね。それと同じような気持ちなのかも」などと似たような場面を例に挙げることで、こういうことを言われるとこういう気持ちになるというイメージが持てるようになることがあります。
また、お子さん自身が、アニメのストーリーの感情理解が追い付かなくて、なんでこういう展開になったのか分からないというときには、前述のコミック会話の手法などを用いて解説することで、より複雑な感情について学ぶ機会になるかもしれません。
感情との付き合い方を身に付けるのは、決して一朝一夕でできることではありません。日常の小さな積み重ねが子どもの「心の語彙(ごい)」を広げ、やがて他者との関わりを豊かにしていきます。子どもたちが自分の気持ちを周囲に大切にされることで、後には相手の気持ちも想像できるようになっていくものです。