
障がいの有無や年齢気にせず
「いいよ!OK!」「パックを見て」「ナイスシュート!」
元気な声が響く、松本市寿北7の県松本技術専門校体育館。20人ほどが汗を流している競技は「フロアホッケー」だ。ドーナツ形のフェルト製パックの穴に、スティックを差し込んで動かし、相手ゴールにパックを入れて得点を競う。
もともとは、知的障がいのある人たちに向け、さまざまなスポーツトレーニングと競技会を提供する国際的なスポーツ組織・スペシャルオリンピックスが開発した競技という。
だが、体育館での顔ぶれは障がい者だけではない。家族、ボランティア、子どもたちもいる。地域で交流を深める場になればと、松本障害者スポーツ応援団(伊藤紫一郎代表)の呼びかけで集まった。
スポーツに参加「ゆるく支援」
スポーツに参加する知的障がいのある人たちを「アスリート」と呼び、「スポーツを楽しみたい」「上手になりたい」と希望する人に機会を提供し、松本市で支援活動をしている松本障害者スポーツ応援団(MSSO)。
伊藤紫一郎代表(82、蟻ケ崎台)によると、20年ほど前にスペシャルオリンピックス日本・長野の松本支部がなくなったため、独自組織として発足した。フロアホッケーの他にもバスケットボール、卓球、水泳、ボッチャ、陸上など、さまざまなスポーツを「ゆるく支援している」という。
フロアホッケーのヘッドコーチを務めているのは、特定非営利活動法人日本フロアホッケー連盟常務理事で、同連盟公認S種インストラクター、1級レフェリーの神田章さん(62、大手)。練習の手順を説明したり、一緒に体を動かしたりしながら指導している。
アスリートの中には競技を楽しむだけでなく、コーチとして準備体操をしたり、試合の審判をしたりする人もいて、それぞれ得意な事、できる事を生かしているという。
相手の力見て支え合いながら
「全部が楽しい。シュートが決まれば気持ちいいし、パスがうまく通ればうれしいし、やりがいを感じる」と、フロアホッケーの楽しさを話すアスリートの長男(16)。一緒に汗を流していた母親(49)は「送迎だけのつもりだったが、家族も試合に出ることがあると聞いて、一緒に練習している。もうへとへと」と言いながらも、笑顔は明るい。
ボランティア参加の野村順一さん(33、塩尻市広丘堅石)は「ボランティアというよりは、一緒にスポーツを楽しんでいる」とし、見事なスティックさばきを見せた。「良い機会だと思って誘ってみたら『行きたい』というので、一緒に来ている」と、長女くるみさん(9)と親子での参加だ。
この日は子どもが3人参加していたため「子どもたちが楽しめるよう、自分たちの得点は後回し」という特別ルールの試合もした。神田さんによると普段の試合でも、力の弱い相手には強く攻めなかったり、さりげなくサポートしたりと、アスリート同士で相手の力を見ながら支え合う姿があるという。「年齢や障がいの有無にかかわらず、互いが支え合う地域のコミュニティースポーツの場になってきている」
スタッフの川上都子さん(59、松本市蟻ケ崎)は「障がい者とどう接すればいいか分からないという人も多いが、こんな場所があることを知ってもらい、同じスポーツを楽しみながら理解し合えれば。障がいの有無や年齢など気にせず、多くの人に参加してほしい」と話した。問い合わせは伊藤代表TEL0263・34・0397