
ベンチプレス競技に取り組む松本市沢村の会社員・伊藤貴裕さん(23)は、アジアクラシック&エクイップ選手権(10月8~12日、香港)のジュニア(23歳以下)83キロ級で、アジア記録と日本記録を更新して初優勝した。昨年末に発症した骨の病気を克服しての快挙。「支えてくれた人たちのおかげ」と、喜びと感謝でいっぱいだ。
最後のジュニアで新記録
同階級の従来のアジア記録は192.5キロ、日本記録は200キロ。非公認ながら200キロの自己記録を持つ伊藤さんは「記録更新を最優先に臨んだ」といい、1回目の試技で193キロを成功してアジア記録を更新すると、2回目に200.5キロを挙げて日本記録を更新。
3回目は一気に世界記録(215キロ)の更新を狙い215.5キロに挑戦して失敗したが、「目標は達成できた」と満足そうだ。
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左鎖骨が痛み始めたのは昨年12月。骨折したかと思うほどの痛みが続き、年が明けて医師の診察を受けると、骨組織が破壊・吸収されて減少する「骨融解」の診断だった。日々の激しいトレーニングが骨にも影響していたのだ。競技を続ければ骨折のリスクが増す。医師に手術を勧められ、自身は「引退も考えた」という。
しかし同競技で世界王者にもなり、伊藤さんが師と仰ぐ同市島内のトレーニングジム「B.A.D.」のオーナー鈴木佑輔さんらの励ましや助言でリハビリを開始。肩周り以外の部位を強化し、フォームも改良して痛みが出にくいようにした。今大会に間に合うめどが立ったのは、7月ごろだったという。
ジュニアの最終年で結果を出し、来年からは年齢制限がないオープンクラスに戦いの舞台を移す。伊藤さんは「これからは、自分のためだけに競技を続けない。他の選手の力になれるような人間になりたい」と力を込める。