松本筑摩高で米在住アーティスト大森さん特別授業 全身使って自分の思いを表現

松本筑摩高校(松本市島立)は10月23日、ニューヨーク在住のアーティスト、大森千寿(ちず)さんを招いた特別授業「感性の扉を開く」を行いました。「教科の学習だけでなく、『解放、楽しさ、視野を広げる、心の壁を取り払う』といった感覚を味わってほしい」と中島秀明校長が昨年に続き企画。生徒たちは、全身を使ってさまざまな感情を表現しました。
会場の美術教室に用意されたのは、幅1.3メートル、長さ6メートルの白い紙が2枚。「自分の内側にある思いや感情を自由に表現して」という大森さんの言葉通り、生徒たちは水彩絵の具で思い思いに描いていきます。
人が描いた絵の上に描いたり、足裏などで絵の具をのばしたり、紙に思い切りダイブしたりしてもOK。「学校の授業だとアートは小さい画用紙に、みんなが同じような作品を描く傾向があり、うまくいかないと自分は絵が苦手だと思ってしまう。でもそんなことはない。自分を大切に、あるがままでいいということをアートを通して伝えたい」と大森さん。
自身も子どもの頃、自由に描こうとすると「その色は違うよ」と指摘され、みんなと同じようにしないといけないプレッシャーや、本当に描きたいものとのギャップなど、いろいろな感情が絡み合って自分の殻に入ってしまったと語りました。
定時制午後部2年の山越遥歩(はるほ)さんは「温かみを感じる時間で、楽しいと体から感じることができました。まだ自分はそこまで枠を外せないけど、とにかく楽しかったです」。通信制1年の髙山ゆいかさんは「来年もあればぜひ参加したい。今まで人の絵は汚してはいけないと思っていたけど、自分の絵に誰かが何かを足しているのを見てうれしくなった。そこからちゅうちょなく人が描いた所へはみ出すことができるようになって、少し殻を破れた気がしました」と話しました。

大森さんは香川県出身。自分を見失い、引きこもりのような時期を過ごしていた時、テレビで見たニューヨークの映像に心を動かされ、2000年に渡米。日本と行き来しながら、「心を開放する」アートのワークショップなどを開いています。
「ニューヨークでは、上手に絵を描くことや作品を作ることより、アートを通して“自分”を受け入れ、他者を認め合うことに重きが置かれています。私もその中で生き方が大きく変わりました」。現地にはミュージシャンやダンサー、詩人などいろいろな形で表現をする人が大勢いて、その影響を受けてアートは楽しいものだと気付いたといいます。
「答えのないものに対して自分で感じ、つくり上げていく力はこれからの時代に大切だと思う。それはAI(人工知能)が進化しても、人間にしかできないことだから」と大森さんは言います。