
カン、カン、カン、カンカンカン…。拍子木の音が鳴ると、紙芝居の始まり始まり!日本独特の文化を楽しみ、学ぶ「第2回紙芝居祭り」が11月1日、松本市あがたの森文化会館で開かれた。
同館内にあるあがたの森図書館には、300冊以上の古い紙芝居が所蔵されている。貴重な作品を生かそうと、松本地域子ども文庫・おはなしの会連絡会、市中央図書館、あがたの森図書館が共催する祭りだ。
前半は大人を対象に、紙芝居・パネルシアター作家で「にんぎょうげきコロン団」代表の荒木文子さん(茨城県)が講師の「BUNちゃんの紙芝居講座」、後半は子どもも大人も楽しめる「紙芝居がいっぱいのおはなし会」を開いた。延べ120人が楽しんだ。
出版社にもない絶版作品なども
なぜ松本市あがたの森図書館に、たくさんの紙芝居があるのか。
30年ほど前、松本地域子ども文庫・おはなしの会連絡会の前身、松本地域子ども文庫連絡会が、伊藤忠記念財団(東京都)の「子ども文庫助成事業」に選ばれ、多額の寄贈を受けた。その際、各文庫で分配せず、紙芝居300冊を購入。当時の活動拠点になっていたあがたの森図書館に贈れば、次世代の活動にもつながると、寄贈した。
しかし当時の紙質は保存に適しておらず、年月の経過とともに劣化が進んだ。利用すると傷みが激しくなるため、開架の場所には置かず、保存したままになっていた。
そんな貴重な資料を披露する機会をつくり、紙芝居文化を広めようと、昨年初めて「紙芝居祭り」が開かれた。連絡会会長の豊嶋さおりさん(同市空港東)によると、設立時から紙芝居を出版している児童図書の出版社・童心社(東京都)の編集長に、松本に来て見てもらったところ、絶版作品や出版社にも残っていない作品があることが判明。「大変貴重な資料」とお墨付きをもらった。中でも貴重な20冊ほどを同社にデータ化してもらったという。
参加者の実演や所蔵作品も展示
祭り会場には、所蔵作品の一部を展示。前半の講座では、「にんぎょうげきコロン団」代表の荒木文子さんが講師を務めた。「紙芝居は世の中で一番小さな劇場。登場人物の誰がしゃべっているか分かるか、絵と言葉がマッチしているか、絵が動いて見えるか、時間の経過が分かるか|などをチェックしながら見て」と前置きし、ユーモアを交えながら、さまざまな演じ方で紙芝居を披露した。
参加者にも実演してもらい、立つ場所や顔の向き、紙芝居の抜き方や声のトーンなどを指導。表情や演じ方が見る見るうちに変わっていく様子に、会場から拍手が起きていた。
肩を寄せ合い見る楽しさを
荒木さんは、「小さなデジタル画面を一人で見て、その世界や自分だけの考えに浸ってしまう子どもがたくさんいる。みんなで肩を寄せ合って同じものを見て、いろんな考え方や見方を話し合い、共有できる紙芝居は、これから大事になる」と、紙芝居の今日的な意義を訴えた。
後半は連絡会メンバーが、1958(昭和33)年の作品「てんぐのうちわ」など、さまざまな紙芝居を披露。親子連れらが楽しんだ。市内から来場し、会場に展示された古い紙芝居を見ていた葛岡由衣さんは「絵がすてきで時代を感じる。紙芝居は小さい時に楽しんだ思い出があり、声の加減や絵を抜くタイミングなどで、絵が動いているように感じられた」と話していた。
豊嶋会長は「紙芝居を学ぶ機会はなかなかないので、参加した人が楽しんでくれて良かった」。今後も祭りは毎年開きたいとしており、これを足掛かりに、データ化した作品も含めて資料の保存と活用の方法を、図書館と共に考えたいという。