一家4人で実現世界一周の冒険 松本の丸山さん一家165日14カ国訪問

子どもと一緒に世界一周。夢はかなうと伝えたい―。丸山泰葉(やすは)さん(39、松本市松原)は夫の浩史さん(39)と8歳の娘、4歳の息子の一家4人で今年5月から10月まで、165日間で世界一周をした。タイ、ラオス、インド、エジプト、イタリア、スペイン、ベルギー、オランダ、スウェーデン、カナダ、米国、メキシコ、ウルグアイ、オーストラリアの14カ国を訪ねた。
2024年から月1回、子どもたちを交えて家族会議を開き、計画を練った。家財を整理し、建てた家も人に譲り、家族でバックパックを1人一つだけ背負って旅に出た。泰葉さんは「手放すことは捨てることではなく、選ぶこと。本当に自分にとって大切なものを選んで生きていきたい」との思いを強めたという。

失敗も喜びも全て人生の糧に

泰葉さんは松本市出身。高校を卒業したら、海外に滞在しながら就労就学ができるワーキングホリデーに行くことが夢だったが、周囲の勧めもあり、県外の大学に進み、就職した。松本に戻って結婚し、子どもが生まれ家を建てた。
浩史さんも海外に行こうとして行けなかった過去があった。2023年に泰葉さんが仕事を辞めたことをきっかけに、夫婦で話し合い、「世界のどこかで暮らしてみたい」という夢をかなえようと決めた。子どもたちも賛成し、今年5月、成田空港からタイへ向け旅立った。旅行会社のプランなどに頼らず、自分たちで行く先を決めながら1年かけて世界を巡る計画だ。
しかし、出発から約2カ月後、4カ国目のエジプトに着いた頃、理想と現実の違いが重荷になってきた。子どもたちの安全確保は想像以上に神経を使った。食事の心配、24時間家族だけで過ごすストレス…。旅が行き詰った。
再び家族会議を開き「1年続ける」「期間を短くする」「今すぐ帰る」を選択肢に話し合った。その時、8歳の娘が「世界一周はやり遂げたい」ときっぱりと発言。親の希望だけで子どもを無理やり連れてきていないか、今すぐ帰りたいと言うだろうか、と思っていたが、強い意志を持っていた。期間を1年から半年に短縮して旅を続けることを決めた。
有機農家がホスト(受け入れ先)となり、畑作業を手伝うことで食事と宿泊の提供を受けられるWWOOF(ウーフ)制度を利用して、農園で畑作業をしながら暮らす体験もした。イタリアのベリー農家では、農園の場所が山奥でWi-Fi環境がなく、携帯電話の翻訳機能が使えずホストとのコミュニケーションが取りづらいという困難もあった。けれど、子どもたちが「この人は何を言ってるんだろう」と耳を傾ける姿勢が出るなど、普通の観光では得られない体験が英語力の向上にもつながった。
スウェーデンでは、子どもたちがホストの家の86歳のおばあちゃんと散歩したり、農園の動物と触れ合ったりするなど、慣れない環境でも楽しみを見つけようとする姿を見せ、大人が勇気をもらうこともあった。いつの間にか子どもたちは、重荷になるどころか旅の希望、道しるべとなっていた。アジアから欧州、北米、南米、豪州と回り10月、無事帰国した。
娘は旅で撮った写真を画用紙にまとめてイベントで披露し、日本料理レストランを海外で開きたいという夢を語るようになった。抱っこが大好きだった息子は自分のバックパックを背負って歩けるようになり、海外の人に話しかけてもらった経験から社交的になり、柔軟に毎日を楽しむ姿を見せた。
子どもたちの姿を見て、泰葉さんは「(世界一周は)人生のどこかで一度諦めた夢だけれど、家族で行くことが運命だったのかもしれない。全ての失敗も喜びも人生の糧になる」と話す。出発時の計画には甘さがあったが、考え過ぎても何も始まらない。たくさん失敗したけれど、失敗してもいいと実体験として学べた。これからも一家の旅は続く。