
南木曽町吾妻の鈴木哲平さん(26)が「山あいのパン屋恋野bakery」を開店して7カ月。妻籠宿の入り口で以前は和菓子や漬物を販売し、長年閉まっていた店を譲り受け、再び明かりをともした。町内で店舗を構える唯一のパン店でもあり、客に愛されて長続きすることを目指している。
皆に愛される店に
店は妻籠宿の町営第2駐車場に隣接。住民のほか観光客やインバウンド(訪日客)も立ち寄る。イートインスペースがあり、ゆったりと過ごす人も多い。
パンは全て県産小麦を使うのがこだわりだ。5種類ほどの生地を作り分け、パンの種類や風味に合わせて用いる。平日は20品、休日は25品ほどを販売。バターの風味が絶妙な、さくさくの食感のクロワッサンが一番人気という。
鈴木さんは南木曽で生まれ育ち、木曽青峰高校(木曽町)を卒業後、地元の製造業に就職した。パン作りに興味を持ったのはコロナ下の外出自粛の頃。「ある日突然ベーグルが食べたくなり、作ってみたらおいしくでき、面白かった」と言う。
それ以来自分で研究したり、SNSでパン職人やパン好きと交流して情報を集めたりを4~5年続け、自作のパンを地域のマルシェなどに出品して評判になった。
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転機は昨年。母の智勢子さん(57)の知り合いだった和菓子店から「空き店舗を活用してみては」と声がかかった。最初は難しそうだと思った鈴木さんだが、智勢子さんが以前から駄菓子店を開く夢を持っていたこともあり、一緒に働けるパン店の開業を決意。智勢子さんも調理師の仕事を辞めて準備した。店名は自宅がある地区名に。今年4月20日にオープンした。
生地の仕込みから焼き上げまで、全て担当する鈴木さんは「パン作りは、仕上がりがその日の気温や湿度に左右されるのが面白い」。今後は、町内や郡内の名物や果物などを使ったパンも作りたいという。
店を営むことになった智勢子さんは、思いがけない展開に驚きつつ、「皆に愛される店でありたいし、妻籠をもっと知ってもらうきっかけにもなれば」と話す。
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開店当初は不安でいっぱいだったという鈴木さん。それでも「また来たよ」「デニッシュ系やクロワッサンが特に好き」などというリピーターの声に張り合いを感じている。「いいご縁に恵まれ、親子で夢をかなえられてうれしい。ふらっと立ち寄ってもらえる店にしたい」と意気込みを話す。
営業は午前11時~午後6時(売り切れ次第終了)。火、水曜定休。TEL0264・24・0071