家庭犬訓練競技会中級クラスで優勝 信州松本動物専門学校・高岡さんと「相棒」ゆきち

夢のトレーナーへ大きな一歩

「ゆきち、ついて!そういい子、いい子!上手だね」。相棒のゴールデンレトリバーゆきち(9歳、雄)に優しく声をかけるのは、信州松本動物専門学校(松本市渚2)ペットライフケア学科2年の高岡想さん(20)だ。
ペアを組んで1年半余。先月、一般社団法人全日本動物専門教育協会が主催する「全国家庭犬訓練競技会」に同校から初出場し、中級クラスで優勝した。
小さい頃から動物好きで、保育園の時は動物の飼育員になりたかったという。同校でドッグ・トレーニングを学び、奥深さと面白さにはまった。「将来はドッグトレーナーになって、ワンちゃんや飼い主の困り事を解決したい」。全国大会で結果を残し、夢へ一歩踏み出した。

相棒の落ち着き初優勝の助けに

全国家庭犬訓練競技会は東京で開かれ、今年で18回目。コロナ禍で一時中断されたが、昨年度から段階的に再開し、本年度本格開催された。
高岡想さんが出場した中級クラスには、全日本動物専門教育協会に加盟する全国約60の専門学校などから校内選考などを経た精鋭8組が出場。初出場でいつもと違う環境の中、高岡さんは「最初は緊張したが、意外とゆきちが落ち着いて演技してくれて、助かった」と振り返る。
競技は、およそ3㍍四方のリンク上でZ字のコースを歩きながら「オスワリ」「マテ」「フセ」「オイデ」などを組み合わせた六つの課題をこなす。それぞれの課題でアイコンタクトを10秒間する。人間と犬、それぞれに計20項目以上の評価ポイントがあり、審査は100点満点からの減点方式だ。90点以上で優秀賞、80点以上に技能賞が与えられ、高岡さんとゆきちは出場者の中で唯一の優秀賞を受賞。1位となり、優勝が確定した。

熱心に練習励み築いた信頼関係

大型犬で9歳のゆきちは人間でいうと60代後半。高岡さんが通う信州松本動物専門学校の職員の飼い犬で、毎日職員と共に〝登校〟する。日中は学生が世話をし、学生にとってはまさに「生きた教材」だ。
ゆちきとペアを組むのは高岡さんで8代目といい、1年の入学時からの相棒だ。トレーニングの基礎ができているので「最初はゆきちが自分をリードしてくれた」と高岡さん。一方で、高齢のゆきちは足腰が弱く、後ろ脚に負担がかかる「フセ」の姿勢が苦手。それを克服するためにしっかりとしたフォームの時だけ褒めたり、おやつをあげたりするなど徹底した。明るい声がけやアイコンタクトも意識し、信頼関係を築いてきた。
これまで学内外で練習を重ねてきた成果に加え、指導を担当したドッグトレーニングの教員の存在も大きな力となった。学内選考を経て大会出場が決まってから、高岡さんに付きっきりで指導してきた教員の長瀬加津也さん(44)は「(高岡さんは)真面目で責任感があり、練習熱心。一度言われたことはすぐに直すなど修正能力が高い」と評価する。そんな長瀬さんも11年前、同大会一般の部中級クラスで全国優勝した経験がある。今回は師弟でつかんだ快挙といい、喜びもひとしおだ。
高岡さんの出身は熊本市。松本市内で下宿しながら同校に通う。卒業後は東京の家庭犬しつけ教室にドッグトレーナーとして就職が内定している。「将来は独立して、自分の店を持ちたい」と夢を抱いている。