松本の竹内尚代さん がん闘病体験つづり「色川賞」受賞

松本市埋橋の竹内尚代さん(80)が半生をつづった著書「私のことはわたしが決める 松本移住の夢をかなえたがん患者、77歳」(社会評論社、2022年出版)が、第28回日本自費出版文化賞(日本グラフィックサービス工業会主催)の「色川大吉賞」に選ばれた。応募は805点で、大賞が選ばれなかったため事実上の最高賞。竹内さんは11月8日、都内で開かれた表彰式に出席した。
色川賞は、「自分史」こそ「民衆史研究」の貴重な資料と主張した、歴史学者の故色川大吉さん(1925~2021年)の名前を冠して昨年創設。竹内さんが2人目の受賞者となった。
竹内さんは21年、望んで松本に移住、孤独だった時期にがん闘病25年の体験を同病者へのエールとして書き始めた。生い立ちから振り返るうちに自分史になったという。
文学志向の強い竹内さんは、学生時代はボーボワールに導かれ、結婚後通った文学学校で在日朝鮮人の歴史を学んだ。差別や人権について認識を深めたことが、人生の価値観を変えたという。
在日韓国人の社会運動家、徐兄弟救援活動に熱心に関わる中で、活動家の学生と恋仲になった。幼児の息子を連れて出奔、離婚。相手との合意で事実婚の形をとり、生まれた子ども2人は未婚の母として育てた。小学校の学童擁護の現業職として働いた。何回ものがん手術の際は、勉強し医師と対等に意見を交わした。
竹内さんは「選考委員の一人が、推薦の言葉として『状況に立ち向かう一人の女性の生き方が、しっかりとした筆でつづられている』と言ってくれたことが、とてもうれしかった」と喜びを語った。