【なないろキッズ】 #114 スマホアプリを活用

自閉スペクトラム症のお子さんとのコミュニケーション手段の一つとして、「スマートフォンのメッセージアプリ」の活用をご紹介します。
自閉スペクトラム症のお子さんの中には、気持ちを言葉で表すことが苦手な子がいます。そんなとき、メッセージアプリのスタンプ機能は助けになります。「うれしい」「疲れた」「今は無理」といった気持ちを、言葉にしなくても伝えられるからです。感情を言語化する負担が軽くなることで、「伝えてみよう」という一歩が出やすくなります。
また、メッセージアプリのやりとりは、自分のタイミングで送ったり受け取ったりできる点も大きな特徴です。支援の場では、視覚的に伝える方法として筆談が用いられることがありますが、メッセージアプリもそれとよく似た効果があります。文字を書くことが苦手な子でも使いやすく、すぐに答えを求められる会話が苦手な場合でも、少し考えてから文章を打つことで、自分の気持ちを整理しやすくなります。やりとりが文字として残るため、後から見返せることも安心材料になります。
さらに、写真を送れることも便利です。日常のちょっとした伝言や確認を、写真を使って共有できるため、親子双方のすれ違いが減ります。
小学6年生のAさんは、家族に自分の思いや考えをあまり話さないお子さんでした。留守番をする機会が増えたことをきっかけに、自宅のWi-Fiにつながるタブレットにメッセージアプリを入れ、親子でやりとりを始めました。Aさんの好きなキャラクターのスタンプを使えるようにしたところメッセージのやりとりが楽しくなり、日常の出来事や困ったことの相談まで、お母さんに送ってくれるようになりました。
また、それまで声をかけると「今やろうとしていたところ!」と強く反応してしまうことが多かったAさんですが、「ご飯できたよ」とメッセージで伝えると、イライラせずに気持ちを切り替えやすくなりました。声での呼びかけよりも刺激が少なく、受け取る側のペースを保ちやすかったのかもしれません。
今ではメッセージアプリは、家族の大切なコミュニケーションツールの一つになっています。