
商都・松本の新春の伝統行事「松本あめ市」は10、11日、市の中心市街地一帯で開かれる。今年も福あめや福だるまの販売、七福神があめを配りながら練り歩く「時代行列」、太鼓や演舞の発表など、多彩な催しを予定。市立博物館(大手3)ではあめ市の歴史をたどる企画展が開かれている。
市立博物館で歴史たどる企画展
市立博物館3階常設展入り口前ロビーでは、パネル展「受け継がれてきた伝統行事、支えてきた商人の工夫」を開催中だ。今年は、市立博物館のボランティア、市民ガイドが主となり企画運営に関わっている。市民ガイドの一人、川手修一さん(75、寿台)に展示を案内してもらった。
現代、平成~明治、江戸と時代をさかのぼるように展示。明治から昭和初期のあめ市は、新年の大売り出しの日だった。大勢の人が道を埋め尽くす様子や、懐かしい商店の売り出し広告、今も変わらぬ子どもによる福だるま販売などの写真もある。数度の大火や戦争の困難など存続の危機を乗り越え、現代に受け継がれてきたあめ市の変遷が見てとれる。
目玉の一つが、常設展(有料)に期間限定で展示された、江戸時代の絵巻物「市神祭之図」(個人所蔵)の実物と、その全図を写真に撮りコピーしてつなげたもの(ロビーに展示)。天保6(1835)年の作品で、行列をなす本町の各町会のお練り(神輿渡御)の様子、担いだり取り囲んだりする町人や若者らで活気あるさまが、精緻に生き生きと表現されている。常設展示されている「宝船と七福神人形」の原型や、本町2丁目の現存するみこしも、絵の中に確認できる。
川手さんは 「知っているようで知らないあめ市の歴史、祭りを盛り上げようとしてきた商人の熱意と工夫を見てほしい」と話す。
19日まで。期間中、市民ガイドによるガイドツアーなども開催される。無料(常設展は有料)。32・0133
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「市神祭之図」にも描かれ、建造から今年で200年を迎える本町2丁目所有のみこし。普段は深志神社に奉納され、あめ市の時しか見ることができない。今年は初めて博物館1階ホールに8日まで、特別展示された。あめ市期間中は信毎メディアガーデン前の仮拝殿に置かれ、11日午後には街を練り歩く。本町1丁目、2丁目のみこしの担ぎ手同士による「塩取り合戦(上杉、武田両軍に分かれての綱引き)」も予定されている。
このほか、全国各地のあめが並べられる「全国あめ博覧会・展示即売会」は、中町・蔵シック館(中央2)で開催。地元松本のほか、島根など全国から80種以上のあめが集まる。あめ細工職人による実演販売も。10、11日とも午前10時半~午後3時。中町商店街振興組合36・1421
【あめ市とは】 あめ市の起源は諸説あるが、戦国時代に越後の上杉謙信が敵対する武田信玄の領地に送った塩(義塩)が松本に着いたのが1月11日とされる。江戸時代に現在の深志神社(深志3)の神主が、同日の市始めの行事で塩を売ったことから「塩市」と呼ばれ、後に屋台であめが売られるようになり「あめ市」として定着していったと伝わる。