【醸す人々】#34 福源酒造社長 平林聖子さん

個性的な熟成酒の味守る

「食が多様化している時代。こんな個性の日本酒があってもいいのでは」。こう語るのは、福源酒造(池田町池田)創業家18代目で、昨年1月に社長に就任した平林聖子さんだ。同社が醸すのは瓶詰めした酒を寝かせて仕上げる「熟成酒」だけ。黄金色が特徴のこの酒を地元だけでなく、世界に発信する。(浜秋彦)

酒米は自社田で栽培している「ひとごこち」。同社の杜氏と蔵人が話し合い、「造りたい酒には、この米が合っている」と昨年、「山田錦」から変更。水は酒蔵の敷地内に湧き出る北アルプスの伏流水を使っている。
酒を寝かせる期間は、その年の酒の特徴や気候などによって異なり、「味がのってきたときが出し時」。おおむね2、3年、長いものだと5年以上寝かせる。
味はうまみが深く、複雑。「『五味』がしっかりしているが、それぞれの味の角が取れてまろやかになっている」
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2000年、同社を訪れた県の公設試験研究機関の職員が、こう言った。「ここの酒は熟成させるときっとうまいよ」と。
同社は1970年代後半に720㍉㍑瓶の製品化、80年代半ばに日本酒仕込みのリキュール醸造などを「全国の酒蔵に先駆けて」行った。これを指揮したのが平林さんの父で、当時の社長・故平林淳男さん。「新しいことへの挑戦に何の抵抗もない人だった」という。熟成酒もしかり。一気に「熟成酒に特化した酒蔵」へとかじを切った。
現在では個性的で重厚な味わいが欧州を中心に海外で評価されている。
「地味でいい。ひたすら熟成酒を造り続けたい」とし、「こういう酒があることをもっと地元の人に知ってもらいたい」と願っている。

【沿革】
ふくげんしゅぞう 1758(宝暦8)年、平林家によって創業。平林家は、銀行、鉄道、蚕種(蚕の卵)など、さまざまな事業を営む。1941年から49年まで戦争の影響で休止していた酒造りを50年に復活。国内外の品評会で受賞多数。
【平林さんおすすめこの1本】
純米吟醸無濾過原酒 生貯 (720㍉㍑、2750円)
【相性のいい料理】
スモークサーモン、ウナギやキノコ料理
【連絡先】
福源酒造TEL0261・62・2210