
自然に寄り添う製法で
塩尻市と辰野町の境に位置する霧訪山の麓にあるワイナリー、霧訪山シードル(同市下西条)。代表の徳永博幸さん(63)が立ち上げ今春、8年目を迎える。リンゴの酒・シードルとワインを手がけ、手作業、無添加、無濾過にこだわる。「果実が持つ本来の力を生かす造り方が、自分がおいしいと思う味になる」という。
下西条地区の耕作放棄地だった約1・3㌶の畑で、リンゴとブドウを化学肥料や農薬を極力使わず栽培。自然発酵で醸す。シードルにはふじなど甘い生食用とジェネバ、ドルゴなど酸味の強い品種を合わせる。ブドウはメルローやピノ・グリ、コンコードなど5品種ほどに取り組む。
同市などが2014年度に開講した「塩尻ワイン大学」の1期生。県内の精密機器メーカーに勤務。元々、リンゴが好きで、退職後に栽培をしたいと思っていた。50歳の頃、初めてフランス産のシードルを飲み、「甘酸っぱさと種をかんだようなほろ苦さのある複雑な味。余韻も長い」と魅了され、醸造家の道を進むことを決意した。
同大学のほか、リンゴ農家で栽培技術を学び、シードルの本場、フランスの醸造所を訪ねて知識を吸収した。
ワインにあまり興味はなかったが、同大学で学ぶうちに、ブドウが醸造や熟成によって花や樹木、バターなどさまざまな香りに変化していく奥深さなどを知って引かれた。現在、生産量の2割がシードル、8割がワインだ。
自然に寄り添う造り方で走り続けたこの7年。「理想の味にやっと近づいてきたけれど、まだまだ」。今春、勤め先を退職し、ワイナリーの仕事に専念する予定。「この地で育った果実を酒にし、自分もここで生きていく。それはとても恵まれたこと」。里山を見上げながら感謝した。
【沿革】
きりとうやましーどる 2014~17年度に塩尻ワイン大学で学んだ徳永さんが、18年に農事組合法人を設立。19年、醸造免許を取得しワイナリーを開設。
【徳永さんおすすめこの1本】
ルロー 2023(750㍉㍑、4650円)
【相性のいい料理】
しょうゆだれの焼き鳥や焼き肉、煮込みなど。しょうゆやみそを使った和食
【連絡先】
霧訪山シードルTEL080・9265・8948