【なないろキッズ】 #116 「卒業」も自分らしく

卒業の季節が近づくと、不登校のお子さんを持つ保護者から「卒業式は出た方がよいのでしょうか」といった相談を受けることが増えます。まずお伝えしたいのは、卒業に「こうするべき」という正解はないということです。大切なのは、本人が納得できる形で節目を迎えられるかどうかです。
卒業式への参加にも、さまざまな形があります。式の一部だけ席を工夫して参加する、校長室で個別の卒業式として証書を受け取るといった方法もあるでしょう。学校の卒業式には出ず、家族で食事をして成長を祝うご家庭もあります。本人がまったく関心を示さない場合は、一切関与しないという選択も尊重されるべきです。
義務教育の年代であれば、学校に通えていなくても卒業そのものが取り消されることはありません。だからこそ、関心を持てないという感覚も自然なものと言えるでしょう。
卒業アルバムや文集についても同様です。写真や名前を載せるかどうか、どのような内容を書くかは、できる限り本人の希望に沿って調整できるのが望ましいでしょう。学校生活と直接関係のないことを書くのも、その子らしい表現の一つです。形式にとらわれず、イラストや本人が撮った写真などで文集に参加する方法を学校側に相談してみるのもよいでしょう。
大人が考える「卒業らしさ」に合わせるより、自分の思いを自分らしく表せたという経験の方が、後の人生を支えることがあります。学校に違和感を抱いている場合、名前を載せるだけでもつらいと感じるお子さんもいます。その気持ちもまた尊重されてよいのです。
不登校になる前に学校で良い時期を過ごしていた場合、「せめて最後ぐらいはみんなと一緒に」と願う大人の気持ちも理解できます。しかし本当に子どもの力になるのは、周囲が決めた形に従うことでも、仲間意識を演出することでもなく、自分のことを自分で選べたという感覚です。
卒業とは学校との別れにとどまらず、次の生活への移行を意味する節目です。形式にとらわれすぎず、その子が安心して次の一歩を踏み出せる形を一緒に探していきたいものです。