住民とつくる地域の〝居場所〟 松本大生ら運営する月1回の「珈琲ひまわり」

「いらっしゃいませ」「寒いのに来てくれてうれしい」。松本市新村の閉店したレストランの建物で月に1度開く「珈琲(コーヒー)ひまわり」。入り口のドアを開けると温かい声が出迎える。運営するのは、近くの松本大の学内組織「地域づくり考房『ゆめ』」の学生たち。住民のボランティアと一緒に、地域に憩いの場を設け続けている。

若者とお年寄り 交流楽しみに

メニューはコーヒーや紅茶、ケーキをはじめ、市内などの人気店のレトルトカレーがあり、南安曇農業高生が地元農家や企業と開発した「信州安曇野SOBA豚(そばとん)カレー」も味わえる。
運営に携わる学生は延べ10人ほど。エプロンを着け、訪れる主に高齢の住民を席に案内して注文を取る。テーブルに座り、お年寄りと話す学生も。住民の中には、学生のために作った料理を持ってくる人や、「こんなことをやりたいんだけど、どうかな?」と尋ねる人もいる。
今月20日の営業時に訪れた常連の原田操さん(82)と柳沢のり子さん(79)は「みんなと話ができる。毎回楽しみにしている」。お年寄りは若者と話して元気になり、学生はお年寄りから生きる知恵を授かったり、コミュニケーション術を身に付けたりしている。
運営の中心を担う総合経営学部観光ホスピタリティ学科3年の小林史弥さん(23)は「新村地区にはいろいろな人がいるので、さまざまな受け皿が必要。その一つになれたと感じており、やりがいがある」。

地元ボランティアと協力

「ゆめ」は2019年、大学近くの元雑貨店で学生が住民にコーヒーや茶を出す「茶房みすゞ屋」を、22年から公民館や大学の教室で「茶房ひといき」を月1回開くなど、ボランティアと協力して住民の居場所づくりに取り組み、学生と住民の交流を図ってきた。「みすゞ屋」はコロナ禍で閉まったが、「ひといき」は現在も続き、加えて元レストランの建物を借りて3年前から子ども食堂を開く地元の主婦から、「空いている時間を使ってほしい」と打診され、24年4月に「ひまわり」をオープンした。
ボランティアの一人で、みすゞ屋で代表を務め、ひまわりとひといきではコーヒーを入れる名人として「マスター」を名乗る日詰政男さん(73)は「コーヒーと音楽を楽しみながら、のんびりできる。地元で人が集まる喫茶文化を広めたいと思っていた」と話す。
地元の町会長も務めた日詰さんによると、新村地区の人口は約3000人で、松本大の学生は2000人ほど。両者がタッグを組み、地域を元気にする試みが続いていく。