池田で初の「獅子舞サミット」町内4地区の担い手集い披露

継承願う地元の伝統 一堂に

赤い顔の獅子頭が舞う。なじみの面を着けた「おかめ」と「ひょっとこ」が、面白おかしく場をつくる。篠笛や太鼓が懐かしい曲調を奏でる―。
2月22日、池田町の町交流センターかえでで、初の「池田町獅子舞サミット」が開かれた。町内4カ所に残る民俗芸能「獅子舞」の継承者が一堂に会し、祭りの日と同様の舞いや演奏を披露。子どもから年配者まで約260人が見学、それぞれの出し物を楽しんだ。
担い手の高齢化や後継者不足などは共通の課題。それぞれ、上限年齢の引き上げや性別を問わないこと、移住者の勧誘など、工夫を凝らして続けているという。中には一度途絶えた伝統を、大学生らを加えて復活させた地区もある。楽しい3時間半を追った。

「池田町獅子舞サミット」は、昨年初夏に企画された。
町内4地区で伝承を担うメンバーは、消防団活動などでも顔を合わせることが多い。集まった際に「お互い、祭りの時期が同じ頃だから、他の地区の獅子舞を見られない。一度、みんなで発表する場を設けてはどうか」と話が出た。さっそく荻窪善明さん(50、広津)を会長に、4地区で「獅子神楽連合」を立ち上げた。

若者らの尽力で復活した地区も

荻窪さんが住む広津の楡室(にれむろ)地区は、獅子舞奉納が一度途絶え、2020年に復活させた経緯がある。今は15~50歳10人ほどで「広津楡室社獅子神楽保存会」をつくり、毎年秋の夜祭りに奉納している。
復活の大きな力になったのは、山間地の生活に魅せられて集った信州大と長野大の学生でつくるグループ「広津の杜(もり)」の若者たち。地区の長老に話を聞き、神楽の譜を起こしたり、獅子舞を再現したりする作業を重ね、その年の秋に復活奉納を果たした。
今回のサミットでは、復活当時高校3年生だった荻窪さんの長男、諄也さん(22)が獅子の後かぶり(獅子舞の後ろ足を演じる人)となり、前かぶりの荻窪さんと息の合った舞いを演じた。
3地区が舞台上で演じたのに対し、舞台下にござを敷き、そこで披露したのは「正科竈(しょうじなかまど)神社神楽有志会」。毎年、秋祭りで参道にござを敷き、観客と同じ目線で演じるという。途中で、獅子が紙製の幣(へい)で観客の頭を触る場面などもあり、和やかな雰囲気が広がった。
踊り手歴30年という松田吉信さん(50)は「足腰がきつくなってきたが、何とか伝統を次につなげたいと思ってやっている」と語る。
踊り手だけでなく、囃子(はやし)を担当する人にも苦労がある。滝沢地区の「三瀧(みたき)連」で太鼓を受け持つ矢口征吾さん(46)は「ここの獅子舞は激しいのが特徴。太鼓も強弱をつけるので、30分ほど続けるのは大変」という。それでも今は20代の女性2人や高校生も加わり、継承に力を入れる。
獅子舞の後に披露する「ひょっとこ踊り」に工夫を凝らしたのは「花見(けみ)獅子保存会」。もともと、即興で動くものだったが、「ある程度ストーリーを作ったほうが見る人に分かりやすい」との考えから昨年夏、40代を中心に話を作り直した。おかめを巡って2人のひょっとこが恋のさや当てをする場面や、「怒り面」をつけた男性がひょっとこの1人を追い払うシーンなどがあり、大受けだった。
サミット見学者の一人は「町内の祭りを全部見に行くことはなかなかできないので、新鮮だった」とコメント。獅子の幣で頭を触ってもらった松本市の川上桃ちゃん(6)は「池田のおばあちゃんの家に来て、これを見た。楽しかった」と笑顔を見せた。