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[創商見聞] No.28 倉科 賢三 (株式会社倉科鐵工所 代表取締役社長)

BCPで災害時の事業継続計画策定

―1929(昭和4)年創業の鉄工所の3代目
 あと10年頑張れば100年企業ですね。鉄骨製造を中心に、建設工事や土木工事、各種クレーンの設計・施工などを手掛けています。私たちが加工した鉄は、例えば千葉県の酒々井プレミアム・アウトレット、東京の新川人道橋、靖国神社の大灯籠の耐震化工事などさまざまな現場で使われています。
ただ、一般の人には、鉄工所がどんな仕事をしているのかあまり知られていないと思います。私もいろいろな機会を捉えて、できるだけ外部の人に発信する努力をしています。
―利用した商工会議所の支援事業は
国が中小企業を支援することを目的にした「ものづくり・商業・サービス革新補助金」があります。商工会議所には専門に支援にあたる担当者がおり、設備投資など前向きに何か考えていることがあればと申請を勧めてもらいました。ただし、ハードルが意外と高く、全国中から申請が集まってきます。補助金申請の要件に従い、国が要求しているものに合った内容で事業計画書などを作る必要があり、商工会議所には本当に親身になって支援していただきました。
 結果、2015年度と16年度の2回、採択してもらいました。15年度は高速プラズマ切断機を導入、16年度は溶接ロボットを更新し、生産効率を向上させました。鉄工所で採択してもらったのは、県内では数社しかありません。
申請書類を作成する過程で、自分たちの会社をどうしていきたいか、どういう設備が欲しくて、それをどうやって使っていったら効果的なのか考えられたことがよかったと思います。
また、中信支部として、商工会議所の経営発達支援計画の一環で経営計画を作るための勉強会を開きました。SWOT分析というもので、自分の会社はどんなところに強みがあるのか、優位性があるのか、逆に弱点は何か、それらを分析。市場にはどんなニーズがあり、どのようにアプローチしていけばいいかを明確にしていくものです。
―商工会議所の支援で人材育成も実施
商工会議所のジョブカードセンターを通し、厚生労働省のキャリアアップ助成金を活用。OFF―JT(職場外での教育訓練)などでの資格取得等に役立ててきました。この制度は、若年労働者や他業種からの転職者などに対して訓練をし、正社員への橋渡しをするもので、これまでに4人の社員に対して活用しました。「鉄工の現場で働きたい」という女性もおり、今、頑張って仕事をしています。新入社員訓練の様子は、厚生労働省のホームページにアップされています。
―昨今の取り組みで注目するのが、事業継続計画(BCP)
 BCPは、地震や自然災害などのとき、いかに事業を継続させるかを計画しておくものです。松本平は牛伏寺断層や糸魚川静岡構造線などがあり、大地震が起こるリスクが非常に高い地域です。たしか熊本地震がきっかけで、中信支部でも取り組もうということになり、商工会議所に依頼してプロデュースしていただきました。もちろん自分の会社だけで何とかなるものではありません。中信支部には20社が所属しており、その中で互いに協力し合い、補完し合って、事業を継続し、万が一のときでも納期は守っていくという仕組みづくりの第一歩が始まりました。
 中信支部でこのようなことができるのも、20年ほど前から支部には青年部があり、2代目、3代目がそこで仲良くなり、仕事のやりとりなどもし合っているという背景があると思います。
―今後の展開は
 鉄工業界は長引く景気低迷に加え、リーマンショックで大打撃を受け、県の鐵構事業協同組合は20年間で、180社が66社に、3分の1まで減ってしまいました。人手不足も大きな問題ですね。若い人が入ってこないので、新陳代謝が進まない。われわれ経営者は、会社の未来はこうあるべきで、それに対しどのようにアプローチしていくかなど社員に話をして、自分たちの未来の展望を発信していくべきだと思います。
先端技術は確かに格好いい。しかし、私たちの仕事はローテクだけれども、自分たちの手で造ったものが橋となり、建物となり、必ず人の役に立っていると。それをもっとアピールしていかなければなりません。自分が手掛けた仕事が長く、将来にわたって残ることが魅力ではないでしょうか。  

【くらしな・けんぞう】 株式会社倉科鐵工所代表取締役社長。松本市出身、54歳。1929年、祖父が株式会社倉科鐵工所を創業する。89年、同社に入社。2005年、3代目社長に就任。18年4月、県鐵構事業協組中信支部長に就任。現在、同協組副理事長。