―開院までの経過は
子どものころから柔道や卓球などスポーツをしていましたが、膝や手首を痛めたりの繰り返し。そこで、痛みを改善する柔道整復師になろうと決めました。
資格を取得した後は、松本市内の整骨院などに勤務しましたが、その中で感じたことが、膝痛なら膝だけを診るという局所的な施術ではなく、体全体を診て施術したいということ。例えば、痛みが出ているところとは関係なさそうなところに原因があることもあります。その原因を取り除くことで早期の改善が期待できます。しかし、保険診療では痛みがあるところしか施術できません。一人一人のお客さまとしっかり向き合いたいと、整体院を開くことを決めました。
―商工会議所の創業セミナーを受講
昨年1月に開業することを決め、商工会議所に相談に行きました。そこで、創業支援セミナーがあるという話を聞いて、5月に受講。開業資金もめどがつき、9月に開業しました。
―AI導入という画期的な取り組みも
痛みが出ている部分の局所検査はもちろん、その他の部分も検査し、痛みの原因を探します。その中の一つが次世代運動機能分析システム「エキスパートAI」を用いた検査。見た目では分からない、体の深い部分までアプローチします。
AI検査は、アイパッド上の専用アプリで、お客さまの体の状態をチェックしていきます。人にはそれぞれ体の使い癖があります。長年の使い癖や体のゆがみを放っておいた結果、痛みや凝りを生じることもあります。使い癖は194万4000通りあり、AIが検査結果を分析して、その中から1つの、その人だけの使い癖を導き出し、それに沿った施術やオーダーメードのストレッチを提供します。
今年3月に導入しましたが、痛みの原因や施術の効果を視覚で見せながら説明することで、お客さまの理解度がとても増しました。また、施術効果が長続きするようになりました。結果、お客さまの満足度も上がり、信頼関係も深まりました。
―経営方針は
長年腰痛に悩まれていた方が「きっと治らないと思うけど、試しで来ました」と諦めた様子で来院されました。それでも施術していくうちに、寝返りも打てなかった腰痛が楽になってきたと笑顔になってきたんです。私の経営方針は、来院された方が、太陽のように暖かく明るい笑顔になれるお手伝いをさせていただくことです。院名も「SUN(太陽)」、イメージカラーもオレンジです。
現在はスタッフはいませんが、スタッフや家族も大切にしたいと思っています。今も週に1日は必ず家族と過ごす時間をつくっています。経営者としてスタッフや家族が苦しい思いをするようなやり方をしてはいけないと考えます。
―今後の事業展開は
メニューに小顔矯正という美容系メニューも取り入れました。また、来年はお客さまがさらに満足し、笑顔になれるようなイベントを企画しています。周りの反応なども見ながら、今後何を強化していくのか考えたいと思います。もちろん、お客さまを笑顔にすることを基本に展開していくことは変わりません。
1時間という施術の時間内でお客さまとの信頼関係を構築するためには、自分自身も成長しなければなりません。自分磨きのためにセミナーなどにも積極的に参加しています。一人でやっていると、自分だけの視点でしか物事を見ることができません。そこで、セミナーやインターネットで、いろいろな先生の治療を見ることで、「こういう視点もあるのか」と気づきが得られます。施術は日進月歩、日々勉強です。
【たむら・じゅん】 29歳。塩尻市出身。地元の高校を卒業後、柔道整復師を目指し栃木県の大学に進学。免許取得後、松本市の整骨院やデイサービスでの勤務を経て、2018年9月に開業。