【ガンズリポート】重すぎる先制点 得失点差リーグ最低

失点後に「前向き」保てるか

1勝15敗。今季リーグ戦で、松本山雅FCが先制された試合の結果だ。先制されると失点も多く、得失点差はマイナス27とリーグ最低。失点してからの反発力が、降格圏(19位以下)からの浮上に欠かせない。
11日の東京ヴェルディ戦も前半30分に先制され、0─2で敗れた。名波浩監督は「“ズルズル”という表現が、まさにそう」と、盛り返せずに敗れた試合を振り返った。
今季は、先制された試合で追いつくのはまれだが、例外の一つが4月4日のブラウブリッツ秋田戦。しかも同点にしたのが、失点のわずか2分後。逆転勝ちにつなげた。
ただ、多くの試合では得点できない時間帯が続き、逆に失点を重ねた。3失点以上の敗戦は9試合に上り、そのうちで2得点以上した試合はない。
先制した試合は、5勝3分けと強さを発揮している。1点目を奪うか、奪われるかが、勝ち点ばかりでなく、得失点差にも大きく影響している。
昨季は違ったと見るのが、主将の佐藤和弘だ。昨年10月、残り18試合で加入したとき、「順位は下の方だったが、雰囲気は悪くないと思った。失点しても取り返そうという気持ちが出ていた」と振り返る。加入後、先制された5試合のうち、3試合で引き分けに持ち込んだ。
ところが「今年は、先制されると『ダメかな』と下を向くことが多い」と佐藤。6月に柴田峡・前監督を解任したとき、神田文之社長は「選手が1失点で精神的に落ちる」と指摘した。その弱さを、監督交代後も引きずっている。
名波監督は「前向き」という言葉を多用する。この姿勢を負けていても保てるか。戦術以前の問題を抱えながら、シーズンは終盤の3分の1に入った。