【ガンズリポート】Jリーグのシーズン移行来月にも結論

選手やプレーへの影響は

Jリーグの開催期間を、冬をまたぐように変える「シーズン移行」の議論が大詰めを迎えようとしている。Jリーグは2026年夏からの移行を想定し、来月の理事会で結論を出す方向だ。松本山雅FCも対応を検討中で、ファン・サポーターの意見を聞くなどしている。
移行すれば、開幕が8月(現行は2月)、閉幕が5月(同12月)になる。12~2月にウインターブレーク(冬季中断)を挟む。
シーズン移行は、過去も何度か検討されては見送られてきた。再び議論が本格化したのは、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)が今年から、夏に開幕するようになったことがある。
移行を探る理由はこれまで、欧州のシーズンに合わせることが主だったが、そこにアジア王者を争う大会に合わせることが加わった。
また、夏の暑さが年を追って厳しさを増す中、炎天下での試合を減らせる意義も重みを増してきた。
Jリーグは移行した場合の日程として2案を示している。主な違いはウインターブレークの長さだ。短いのが案Aで、12月は現行より遅くまで試合を組み、2月は早くから試合を始める。合わせて4週間ほど冬季の試合が増える。
案Bは、現行の閉幕から開幕までと同じ期間に中断をする。年間で試合を開催できる期間が短くなり、平日のゲームが多くなる。
山雅のように寒冷地を拠点とするクラブは冬の試合開催が難しく、現行でも開幕から2、3戦はアウェーで試合をしている。Jリーグは案Aを採用した場合、寒冷地のクラブはウインターブレークを挟みJ1、J2で最長7試合、J3では9試合連続でアウェー戦になる可能性があると試算している。
移行するかしないか、するとしたら案Aか案Bか。Jリーグは各クラブの意見などを踏まえて判断する方針だ。

今月3日に喫茶山雅で行われたファン・サポーターとの意見交換会では、こうした状況をクラブが説明。その上で、元選手で現在は強化などに携わる飯田真輝さん(38)が、選手やプレーへの影響を解説した。
飯田さんは「アウェーの連戦は、目の前の一戦に集中すれば問題にならない」とする一方、「シーズン半ばの中断で、精神的に緩むことが課題」と指摘した。
また、選手の体調については「冬はけがのリスクが増すが、夏は熱中症の恐れがある」と説明。夏場の試合が減ることで、魅力的なプレーや場面が増えるとの見立てを紹介し、個人的な意見と断った上で「移行して世界と戦うんだという状況になれば、選手は幸せ」と付け加えた。
山雅は、クラブとしてどのような見解を示すか検討している。移行した場合、ウインターブレーク中に行うキャンプにより支出が増えたり、平日の試合が増えると入場料収入が減ったりするなど、経営や運営への影響をシミュレーションしている。
曽根原克朗運営部長は「今はJ3だが、J1だった15年や19年を上回ることを目指し、(Jリーグ全体だけでなく)僕たち自身も成長していきたい」とし、引き続きファン・サポーターの意見も参考に見解をまとめるという。