【ガンズリポート】戦いの舞台裏は… 動画サイトで配信「チームに関心を」

松本山雅FCのトップチームが今季、戦いの舞台裏を積極的に発信している。ロッカールームでの真剣なやりとりや、試合や練習の合間のリラックスした表情など、これまで見ることができなかった選手の姿に触れてもらい、チームへの関心を広げようという広報戦略だ。

ロッカールームの様子など公開

その名もずばり「インサイド」(内側)。動画投稿サイト「ユーチューブ」の山雅公式チャンネル=https://www.youtube.com/@yamagachannel/videos=で随時配信するコンテンツで、試合当日のスタジアムの動きを追っている。
ストレッチをしたり着替えたりと、試合に備える選手を映す一方、運営スタッフやサポーターの準備風景も収める。クラブの呼びかけに応えて、サポーターが行った雪かきも紹介した。
見どころの一つは、キックオフに向けて集中を高める選手や指導陣の様子だ。霜田正浩監督が「サポーターのために」と鼓舞したり、ベテランのMF山本康裕が「(山雅は)去年J3で9位。強くもなんともない」と叱咤(しった)したり。身内に向けた言葉から、チームの“本音”が垣間見える。
担当する企画広報部の稲福駿さん(24)は「監督は、試合前に話す内容を何日も考えている。戦術的なことは公にできないが、気持ちの部分を知ってもらえれば」。
運営会社の神田文之社長がよく口にしている言葉が「目線を合わせる」。稲福さんは広報担当としてチームの現場をより身近にし、ファン・サポーターや地域とつなぐことを心がけている。舞台裏の公開には、霜田監督も協力的という。
稲福さんも撮影し、最近は視聴者から「今日もよろしく」「楽しみにしている」と声をかけられるようになった。再生回数は軒並み1万を超える。
「インサイド」以外にも、親しみやすいコンテンツを発信し、直近では松本市かりがねサッカー場にあるクラブハウス内にカメラが入り、選手がマッサージや治療を受ける部屋も紹介した。
「いろんな人に見てもらいたい」と稲福さん。今年は、若者の利用が多い動画投稿アプリTikTok(ティックトック)の運用も始めた。山雅をあまり知らない人にも、チームの表情を届けるのが狙いだ。
硬軟取り混ぜた情報発信で、チームへの関心の裾野を広げ、スタジアムに足を運ぶ人を増やそうと知恵を絞っている。